変動金利と固定金利はどっちがいい?後悔しない選び方を宅建FPが解説

変動金利と固定金利どっちがいい?

「変動金利と固定金利、結局どっちがいいの?」——住宅ローンで、いちばん多くの人が迷うのがこの選択です。

しかも2026年は、長く続いた低金利が終わり、変動金利も1%を超えてじわじわ上がり始めた「金利のある世界」に入りました。だからこそ、この選び方はますます重要になっています。

先に結論をお伝えします。変動と固定に「万人にとっての正解」はありません。 選ぶ基準はシンプルで、「金利が上がっても、無理なく返せる家計かどうか」。これに尽きます。

実際、住宅金融支援機構の住宅ローン利用者の実態調査を見ても、多くの人が変動金利を選ぶ一方で、金利上昇局面では固定を見直す動きも出ています。この記事では、宅建FP編集部が、両者の違いから後悔しない選び方まで、初心者にもわかりやすく整理していきます。

この記事でわかること
  • 変動金利と固定金利の違い(金利の決まり方・仕組み)
  • それぞれのメリット・デメリットと向いている人
  • 変動の「5年ルール・125%ルール」の落とし穴
  • 金利が上がると返済額はいくら変わるか(シミュレーション)
  • 後悔しない選び方と、ミックス・借り換えの考え方
目次

変動金利と固定金利は何が違う?まず仕組みを整理

変動金利と固定金利は何が違う?まず仕組みを整理

「どっちがいいか」を考える前に、そもそも何が違うのかを押さえましょう。ここがわかると、選び方が一気にクリアになります。

変動金利とは(半年ごとに金利が見直される)

変動金利は、返済の途中で金利が変わるタイプです。一般的に、日本銀行の政策金利に連動する「短期プライムレート」をもとに、半年ごとに金利が見直されます。

当初の金利は固定より低めですが、その分、将来金利が上がれば返済額も増えるリスクを自分で背負います。

固定金利とは(完済まで金利が変わらない)

固定金利は、借入時から完済まで金利(=返済額)が変わらないタイプです。代表例が「フラット35」で、長期金利(10年国債利回りなど)をもとに決まります。

当初の金利は変動より高めですが、返済額がずっと一定なので、将来の家計計画が立てやすいのが強みです。

2026年の金利差はどれくらい?

2026年時点では、変動金利は年1%前後、固定(フラット35)は年3%台と、おおむね2%前後の差があります。この差をどう見るかが、選び方の出発点になります。

項目 変動金利 固定金利
金利の決まり方 短期プライムレート(半年ごと見直し) 長期金利(借入時に確定)
当初の金利 低め 高め
将来の返済額 変わる可能性がある 完済まで一定
リスクを負うのは 借りた人 金融機関

なぜ今、住宅ローンの金利が上がっているのか【2026年の動向】

金利タイプを選ぶうえで、今の金利がどう動いているかを知っておくと判断しやすくなります。ここ数年の流れを、やさしく整理します。

「金利のある世界」に戻った

日本は長らく「超低金利」が続き、変動金利は0%台前半という時代が続いていました。しかし物価上昇などを背景に金融政策が転換し、変動金利も1%を超えて、じわじわ上がり始めています。 固定金利(フラット35)も、2024年以降に一段上がりました。

変動と固定は「上がる理由」が違う

変動と固定は、そもそも連動する金利が違うため、上がるタイミングもズレます。

金利タイプ 連動するもの 特徴
変動金利 短期プライムレート(政策金利) 政策変更で動く。半年ごと見直し
固定金利 長期金利(10年国債利回りなど) 将来の予想を先取りして動く

固定は「将来の金利上昇」を先に織り込むため、変動より一足先に上がりやすいという性質があります。「固定にしようかな」と思う頃には、固定金利がすでに上がっていることが多いのはこのためです。

この先どうなる?

正直なところ、金利の先行きは専門家でも正確には読めません。だからこそ、「予想を当てる」のではなく「どちらに転んでも返せる家計にする」という考え方が現実的です。この視点は、このあとの選び方でも軸になります。

変動金利のメリット・デメリット

変動金利のメリット・デメリット

まずは変動金利から、良い面と注意点を整理します。

変動金利のメリット

  • 当初の金利が低く、毎月の返済額を抑えられる
  • 同じ返済額でも、より多くを借りられる(ように見える)
  • 金利が低いまま続けば、総返済額を抑えられる

変動金利のデメリット

  • 金利が上がると、返済額が増える
  • 将来の返済額が読めず、家計の計画が立てにくい
  • 金利上昇のストレスを常に抱えることになる

変動金利の本質は、「低い金利と引き換えに、金利上昇のリスクを自分で引き受ける」ことです。金利が上がらなければ得をしますが、上がれば返済が重くなります。つまり変動は、貯蓄や収入に余力があり、いざというとき繰上返済や固定への借り換えで対応できる人に向いています。逆に、家計がギリギリの状態で変動を選ぶと、金利上昇がそのまま家計の危機に直結してしまいます。

変動金利の低さは「将来の金利上昇リスクを自分で引き受ける」こととセットです。目先の低さだけで選ぶと、金利が上がったときに家計が苦しくなります。上がっても返せる余力があるかが分かれ道です。

固定金利のメリット・デメリット

固定金利のメリット・デメリット

次に固定金利です。変動とはちょうど裏返しの特徴になります。

固定金利のメリット

  • 返済額が完済まで一定で、計画が立てやすい
  • 金利が上がっても影響を受けない(安心感がある)
  • 教育費など固定の出費が多い家庭でも見通しを持ちやすい

固定金利のデメリット

  • 当初の金利が高く、毎月の返済額が大きめ
  • 金利が低いまま推移すると、結果的に割高になることがある
  • 変動より先に金利が上がりやすい性質がある

固定金利は、「割高な金利と引き換えに、金利上昇の不安から解放される」タイプです。35年間、返済額がまったく変わらないという安心は、家計管理のしやすさに直結します。特に、教育費のピークが控えている家庭や、共働きでも収入に余力が少ない家庭では、「返済額が読める」こと自体が大きな価値になります。当初の差額は、この安心を買うためのコストと考えると納得しやすいでしょう。

固定金利は当初が高い分、返済額がずっと変わらない安心が手に入ります。この差額は「安心代」と考えるとわかりやすいです。金利が読めない不安から解放されたい人には、十分に価値があります。

【要注意】変動金利の「5年ルール」「125%ルール」の落とし穴

【要注意】変動金利の「5年ルール」「125%ルール」の落とし穴

変動金利には、返済額の急な増加をやわらげる2つのルールがあります。安心材料に見えますが、落とし穴があるので必ず知っておきましょう。

ルール 内容
5年ルール 金利が上がっても、5年間は毎月返済額を変えない
125%ルール 返済額を見直すときも、前の1.25倍までしか上がらない

一見すると「これなら安心」と思えます。でも、抑えられているのは返済額であって、利息そのものではありません。 金利が上がった分の利息は「未払い利息」として積み上がり、あとでまとめて負担が来ることがあります。

さらに、これらのルールがない金融機関もあります。ルールに守られているつもりで上限まで借りると、かえって危険です。

5年ルール・125%ルールは「返済額の急増を抑える」仕組みですが、免除ではありません。抑えられた分は未払い利息として残り、あとでまとめて負担が来ることも。ルールに守られているつもりで借りすぎるのは危険です。

金利が上がると返済額はいくら変わる?シミュレーション

金利が上がると返済額はいくら変わる?シミュレーション

言葉だけではイメージしにくいので、具体的な数字で見てみましょう。3,000万円を35年・元利均等で借りた場合の目安です(前提で変わるため、あくまで目安)。

まず、変動(当初0.6%想定)と固定(1.9%想定)の当初の比較です。

金利タイプ 毎月返済額 総返済額の目安
変動 0.6% 約79,200円 約3,327万円
固定 1.9% 約97,800円 約4,110万円

当初は変動が毎月約1.9万円安くなります。ただし、変動はここから金利が上がる可能性があります。

もし変動金利が… 毎月返済額 総返済額の目安
0.6%のまま 約79,200円 約3,327万円
1.5%に上昇 約91,900円 約3,858万円
2.5%に上昇 約107,200円 約4,504万円
3.5%に上昇 約124,000円 約5,207万円

この表からわかること:変動が終始1.9%前後で推移すれば、固定とほぼ同じ総額になります(これが「損益分岐」のイメージ)。それより上がれば固定が有利、下のままなら変動が有利、ということです。将来の金利は誰にも読めないので、「上がっても払えるか」で備えるのが現実的です。

借入額が大きいほど「差」も大きくなる

当初の変動と固定の差は、借入額が大きいほど広がります。当初金利(変動0.6%・固定1.9%)での毎月返済額を借入額別に比べてみましょう。

借入額 変動0.6% 固定1.9% 当初の差
2,500万円 約66,000円 約81,500円 約15,500円
3,000万円 約79,200円 約97,800円 約18,600円
3,500万円 約92,400円 約114,200円 約21,700円

借入が大きいほど、固定の「安心代」は毎月2万円前後と重くなります。だからこそ、借入額が大きい人ほど、固定を選ぶなら家計に無理がないか、変動を選ぶなら上昇時に耐えられるかを、より慎重に確認する必要があります。金利タイプ以前に、借入額そのものを抑えることが効いてくるわけです。

変動・固定はどっちがいい?向いている人の判断基準

変動・固定はどっちがいい?向いている人の判断基準

ここまでを踏まえ、どんな人がどちらに向いているかを整理します。自分に当てはめて考えてみてください。

判断ポイント 変動が向いている 固定が向いている
家計の余力 貯蓄・収入に余力がある 余力が少なめ
借入額 小さめ 大きめ
返済期間 短め(〜20年など) 長め(30〜35年)
性格・考え方 金利変動に対応できる 返済額を安定させたい
教育費など固定出費 まだ余裕がある ピークが重なる

ざっくり言うと、金利が上がっても家計で吸収できる人は変動、上がると困る・安心を優先したい人は固定です。どちらが「得」かではなく、自分の家計とメンタルに合うかで選ぶのがポイントです。

イメージしやすいように、2つの例で考えてみましょう。

  • 共働き・貯蓄多め・借入2,500万円のAさんBさん夫婦 → 金利が上がっても繰上返済で対応できる余力があり、借入も大きくないので変動向き
  • 片働き・教育費ピークが近い・借入3,800万円のCさん一家 → 収入に余力が少なく借入も大きいため、返済額が読める固定向き

同じ「年収」でも、家計の余力・借入額・ライフステージで最適解は変わります。自分がどちらのタイプに近いかで考えてみてください。

金利タイプ選びでよくある後悔パターン

金利タイプの選択で「しまった」となるのは、たいてい次のようなケースです。先に知っておけば避けられます。

後悔パターン 何が起きたか 避け方
低金利だけで変動を選んだ 金利上昇で返済が増え家計が圧迫 上昇時の返済額を試算しておく
ルールを過信して借りすぎた 未払い利息が積み上がった 5年・125%ルールに頼らない
固定期間選択型の期間終了を忘れた 当初10年後に返済額が急増 期間終了後の金利まで確認
変動が不安で眠れなくなった 金利ニュースのたびにストレス 安心を優先し固定も検討
借り換えを先延ばしにした 固定も上がり効果が薄れた 早めにシミュレーションする

共通しているのは、「目先の金利の低さ」だけで判断してしまっている点です。金利タイプは、数字の損得だけでなく、家計の余力と自分の性格まで含めて選ぶと後悔しにくくなります。

迷ったら「ミックスローン」「固定期間選択型」も選択肢

どうしても決めきれないときは、中間の選択肢もあります。

  • ミックスローン:借入を変動と固定に分けて組む。低金利の恩恵とリスク分散を両取り
  • 固定金利期間選択型:当初10年など一定期間だけ固定。期間終了後は金利が変わる点に注意

どちらも「いいとこ取り」に見えますが、固定期間選択型は期間終了後に返済額が読めなくなるので、その時点で払えるかまで見ておきましょう。

後悔しない金利タイプの選び方【3ステップ】

失敗しないための選び方を、行動できる3ステップにまとめます。

STEP
金利が上がっても返せるか試算する

変動を検討するなら、金利が2〜3%台に上がった場合の返済額を計算し、その額でも家計が回るかを確認します。

STEP
家計の余力・借入額・返済期間を確認する

貯蓄や収入に余力があり、借入額が小さめ・返済期間が短めなら変動向き。余力が薄く長期なら固定向きです。

STEP
「低金利」か「安心」か、優先順位を決める

目先の低さを取るか、返済額の安定(安心)を取るか。家族で優先順位を話し合い、迷うならミックスも選択肢にします。

この順番で考えると、「なんとなく低いから変動」という失敗を避けられます。

【宅建FP編集部より】さらに押さえたい3つの視点

【宅建FP編集部より】さらに押さえたい3つの視点

最後に、宅建FP編集部として、金利タイプ選びで後悔しないために大切にしてほしい3つの視点をお伝えします。

  1. 「借りられる額」ではなく「返せる額」で考える:低金利で多く借りられても、返済がきつければ意味がありません。金利タイプ以前に、借入額そのものを無理のない水準にすることが先です。
  2. 固定の差額は「安心代」と捉える:固定が割高に見えても、「金利に振り回されない安心」への対価と考えれば、十分に価値があります。安心もお金で買える時代です。
  3. ライフプランと重ねて考える:教育費のピークや収入が下がる時期に、金利上昇が重なると家計は一気に苦しくなります。将来の出費と返済を時間軸で並べて確認しましょう。

金利タイプは「どちらが得か」ではなく「金利が上がっても返せる家計か」で選ぶのが、後悔しないいちばんの近道です。判断の軸を「借りられる額」ではなく「返せる額」に置きましょう。

途中で変えられる?借り換えの判断と注意点

途中で変えられる?借り換えの判断と注意点

「変動で借りたけど、やっぱり固定に変えたい」——そんなときは借り換えで金利タイプを変えられます。ただし、次の点に注意が必要です。

確認ポイント 内容
手数料・諸費用 借り換えには数十万円かかることがある
金利差 差が小さいと費用倒れになる
残高・残期間 残りが少ないと効果が出にくい
固定はすでに上昇 変えたい頃には固定金利も上がっていることが多い

一般的に「金利差・残高・残期間」の条件が揃うほど借り換えの効果は出やすくなります。感情的に急がず、費用まで含めてシミュレーションしてから判断しましょう。

金利タイプ選びチェックリスト

契約前に、次の項目を確認してみてください。

□ 金利が2〜3%台に上がった場合の返済額を試算したか
□ その返済額でも家計が回るか確認したか
□ 借入額を「返せる額」から決めているか
□ 5年ルール・125%ルールの落とし穴を理解したか
□ 教育費のピークと金利上昇が重ならないか考えたか
□ 迷う場合、ミックスや固定期間選択型も比較したか

よくある質問(FAQ)

変動金利と固定金利、実際どちらを選ぶ人が多いですか?

近年は変動金利を選ぶ人が多数派で、調査によっては7割前後が変動を選んでいます。ただし2026年は金利上昇局面で、固定を見直す動きも出ています。多数派だから安心とは限らないため、自分の家計で判断することが大切です。

今から固定金利にするのはもう遅いですか?

遅いとは言い切れません。金利が上がる局面では、返済額を固定できる安心の価値はむしろ高まります。ただし固定金利は変動より先に上がりやすい性質があるため、タイミングより「自分に固定の安心が必要か」で判断しましょう。

変動金利はこの先どこまで上がりますか?

正確な予測は誰にもできません。だからこそ「上がったら困る」なら固定、「上がっても返せる」なら変動、というリスクの引き受け方で選ぶのが現実的です。変動を選ぶなら、数%上昇しても払える余力を持たせておきましょう。

5年ルール・125%ルールがあれば変動でも安心ですか?

完全な安心とは言えません。これらは返済額の急増を一時的に抑える仕組みで、抑えられた利息が消えるわけではありません。未払い利息として後に残ることもあるため、ルールを過信して借りすぎないことが大切です。

変動と固定で迷ったらどうすればいいですか?

ミックスローン(変動と固定を組み合わせる)や固定期間選択型という中間の選択肢があります。低金利の恩恵を受けつつリスクを分散できます。どちらか一方に決めきれないときの現実的な折衷案です。

途中で変動から固定に変えられますか?

借り換えによって金利タイプを変えることは可能です。ただし手数料や諸費用がかかり、固定はすでに上がっていることもあります。借り換えは、金利差・残高・残期間・費用をシミュレーションしたうえで判断しましょう。

結局、変動と固定はどっちがいいですか?

万人にとっての正解はありません。家計に余力があり金利上昇に備えられる人は変動、返済額を安定させて安心したい人は固定が向いています。大事なのは「金利が上がっても返せるか」。この一点で考えると迷いにくくなります。

まとめ:正解は「金利が上がっても返せるか」で決まる

最後に、この記事の要点を整理します。

  • 変動と固定に万人の正解はない。「金利が上がっても返せるか」で選ぶ
  • 変動は当初が低いが上昇リスクを自分が負う。固定は割高でも安心が手に入る
  • 5年ルール・125%ルールは免除ではない。過信して借りすぎない
  • 迷ったらミックスや固定期間選択型、判断に迷えば専門家への相談も選択肢
  • 金利タイプ以前に、借入額そのものを「返せる額」に抑えることが大前提

金利は誰にも読めません。だからこそ、予想を当てにいくのではなく、「どちらに転んでも大丈夫な家計」を作ることが、いちばんの後悔対策です。あわせて【住宅ローンで失敗する人の共通点5選】の記事も参考に、無理のない住宅ローンを組んでいきましょう。

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品、不動産取引、住宅ローン契約、保険商品、投資行動を推奨するものではありません。金利や制度・条件は変更される場合があるため、最新情報は金融機関・公的機関などの公式情報をご確認ください。最終的な判断は、必要に応じて専門家にご相談ください。

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この記事を書いた人

競売物件を専門に扱う不動産会社に勤務し、その後独立。住宅ローンを返せず家を手放す方を、数多く見てきました。その多くは「知らなかった」ことが原因でした。だからこのサイトでは、買う前・売る前に知っておけば防げることを、デメリットも隠さずに書いています。宅地建物取引士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士。

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