家を高く売るためにやるべきこと|査定前・内覧前の準備を宅建FPが解説

家を高く売るためにやるべきこと

同じ家でも、売り方次第で、手元に残る金額は数十万〜数百万円変わります。「できるだけ高く売りたい」なら、売り出す前の準備がカギです。

高く売るというと、大がかりなリフォームを思い浮かべるかもしれません。でも実は、お金をかけずにできる準備のほうが、ずっと効果的です。

この記事では、宅建士・FPの視点から、家を高く売るためにやるべきことを、査定前・会社選び・売り時・内覧前・交渉の段階別に解説します。すべての出発点は相場を知ること。国土交通省の不動産情報ライブラリで、近隣の成約価格を無料で確認できます。

この記事でわかること
  • 家を高く売るための4つの基本戦略
  • 査定前にやるべき準備(相場調べ・複数社比較)
  • 高く売れる不動産会社の選び方と売り時
  • 内覧の印象を上げる、お金をかけない準備
  • 値引き交渉のコツと、やってはいけないこと
目次

家を高く売るための4つの基本戦略

家を高く売るための4つの基本戦略

まず、家を高く売るための全体像をつかみましょう。高く売るコツは、次の4つに集約されます。

  • 相場を調べて、適正価格で売り出す(高すぎず安すぎず)
  • 高く売れる会社を選ぶ(販売力・根拠・対応)
  • 売り時を逃さない(需要期・築年数)
  • 内覧の印象を上げる(掃除・見せ方)

意外に思うかもしれませんが、特別な裏技はありません。この4つを、一つずつ丁寧に実践することが、結果的にいちばん高く売る方法です。

そして、大切な前提が1つ。「売却価格」ではなく「手取り」で考えることです。仲介手数料・税金・ローン残債を差し引いた、実際に残る額が本当の成果。高く売っても、手取りを見誤ると意味がありません。

家を高く売る基本は、①相場を調べて適正価格で売り出す ②高く売れる会社を選ぶ ③売り時を逃さない ④内覧の印象を上げるの4つ。大がかりなリフォームより、相場の把握・会社選び・掃除という「お金をかけずにできる準備」が、いちばん効きます。

【査定前】相場を調べ、複数社に査定を依頼する

【査定前】相場を調べ、複数社に査定を依頼する

高く売るための準備は、査定を頼む前から始まっています。

まず自分で相場を調べる

いちばん大切なのが、自分で相場を調べておくことです。ポータルサイトで似た条件(エリア・広さ・築年数)の物件を見るほか、不動産情報ライブラリで実際の成約価格を確認します。

相場観があれば、査定額が高すぎ・安すぎを判断でき、高値査定に惑わされずに済みます。これが、高く売るためのすべての準備の土台になります。

複数社に査定を依頼する

相場を把握したら、複数社に査定を依頼します。3〜5社に依頼して比較することで、適正な価格の目安と、信頼できる会社が見えてきます。1社だけでは、その額が高いか安いか判断できません。

会社によって査定額に差が出るのは、参考にするデータや価格の付け方が違うためです。調査によっては、複数社に査定を頼んだ人の多くが「100万円以上の差」を経験しているという結果もあります。1社で決めていたら、その差はまるごと損になっていたかもしれません。

売却の目的・期限を、家族で共有する

意外と大事なのが、売る目的と期限を、家族で話し合っておくことです。「住み替えのため、いつまでに売りたいのか」「いくら以上で売りたいのか」が曖昧だと、価格交渉のときに判断がぶれます。

とくに、いくらまでなら値引きに応じるかの下限は、あらかじめ家族で合意しておきましょう。共有名義なら、全員の同意がないと売却は進められません。

ローン残債を正確に確認する

住宅ローンが残っているなら、正確な残債の確認が欠かせません。金融機関に問い合わせるか、返済予定表で確認できます。

売却代金でローンを完済できないと、抵当権を抹消できず、売却そのものが難しくなります。残債と査定額を並べて、完済できるか、手元にいくら残るかを、売り出す前に把握しておきましょう。

不具合や告知事項を整理しておく

査定の際は、物件の不具合や、買主に伝えるべき告知事項を、正直に整理しておきましょう。雨漏りやシロアリ、過去の事故などを隠すと、後でトラブルになり、かえって損をします。正直に伝えたうえで、価格を調整するのが正しい進め方です。

【会社選び】高く売れる会社の選び方

【会社選び】高く売れる会社の選び方

家を高く売れるかどうかは、どの不動産会社に任せるかで大きく変わります。

査定額の高さでなく「根拠」で選ぶ

複数社の査定が出たら、いちばん高い額に飛びつきたくなります。でも、査定額が高い=高く売れる、ではありません。媒介契約ほしさに、相場を無視した高値を出す会社もあります。

見るべきは、その査定額の根拠を、具体的に説明できるか。「近隣でこの価格で成約している」と示せる会社は信頼できます。あわせて、販売戦略を提示できるか、担当者の対応が誠実かも、重要な判断材料です。

大手と地域会社、どちらが合うか

会社には、大手と地域密着型があります。都心の人気物件は大手の販売力が活き、地方や特殊な物件は、その地域に強い会社のほうが買主を見つけやすいこともあります。

地域密着の会社は、古くからその地域で売買を行い、相場や需要のノウハウを持っています。物件のタイプに合わせて選びましょう。会社選びの詳細は【専任媒介と一般媒介の違い】でも解説しています。

【売り出し】適正価格と、売り時を意識する

【売り出し】適正価格と、売り時を意識する

売り出しの段階では、価格設定とタイミングが、高く売れるかを左右します。

相場に見合った価格で売り出す

相場より高すぎる価格は、売れ残りを招きます。売れ残ると「訳あり物件」と敬遠され、値下げを繰り返して、結局は安く売る羽目に。とくに売り出し直後の数週間は、その物件を待っていた買主が反応する好機。ここで価格が高すぎると、この機会を逃します。

だからこそ、最初から相場に見合った価格で売り出すほうが、結果的に高く早く売れます。少し高めから始めて反応を見る戦略もありますが、相場からかけ離れた価格は禁物です。

売り時を逃さない

タイミングも意識しましょう。需要が高まるのは、2〜3月(新生活シーズン前)と、9〜10月(秋の異動シーズン)です。この時期に売り出せると、買主が見つかりやすくなります。また、中古は築年数が浅いほど建物価値が高く評価されます。

日ごろのメンテナンスが、高値につながる

見落とされがちですが、日ごろの手入れが、売るときの価格に効いてきます。定期的に外壁や屋根を点検し、水回りの劣化を放置しない。こうした積み重ねが、査定でも内覧でもプラスに働きます。

逆に、傷みを放置した家は、買主に「他にも問題がありそう」と不安を与え、値引きの材料になります。売却が視野に入ったら、まず不要品の処分(残置物の片づけ)から始めるだけでも、印象は変わります。

「高く売れる家」の特徴を知っておく

参考までに、一般に価格が落ちにくい・高く売れやすい家には、次のような特徴があります。

  • 築年数が浅い、または状態が良く手入れされている
  • 駅から近く、生活利便性が高い
  • 人気エリア、または再開発などで将来性が見込めるエリアにある

自分の家がこれに当てはまらなくても、悲観する必要はありません。変えられない立地や築年数より、変えられる「価格設定・会社選び・見せ方」に力を注ぐほうが、結果につながります。

売ると決めたら、傷みや値下がりが進む前に動くのが基本。ただし「高い時期を待つ」ために先延ばしすると、維持費や築年数の進行で、かえって損することもあります。

掲載写真の質にもこだわる

意外と見落とされがちですが、ポータルサイトの掲載写真は、反響を大きく左右します。買主の多くは、まず写真で「見に行くかどうか」を判断するからです。

暗い・散らかった写真では、興味を持ってもらえません。掲載前に部屋を片づけ、明るい時間帯に撮る、広く見える角度で撮るなど、写真の質にこだわりましょう。会社によっては、プロのカメラマンによる撮影に対応しているので、確認してみるとよいでしょう。

【内覧前】第一印象を最大化する準備

【内覧前】第一印象を最大化する準備

内覧は、買主が「この家を買うか」を決める最終審査。印象がそのまま価格や成約スピードに響きます。ここは、お金をかけずに大きな差をつけられる場面です。

水回りと玄関を最優先

とくに効果が大きいのが、水回りと玄関です。

  • 水回り(キッチン・浴室・トイレ・洗面)を徹底的に掃除する
  • 玄関を片づけ、すっきり見せる(最初に目に入る)
  • 荷物を減らし、部屋を広く見せる
  • カーテンを開け、照明をつけて明るくする
  • 内覧前に換気して、においを取る

散らかった部屋は、印象が悪いだけでなく、「管理されてこなかった物件では」という不安にもつながります。逆に、清潔で明るい家は、それだけで好印象を与え、値引き交渉されにくくなります。

リフォームより「掃除」が効く

「高く売るためにリフォームすべき?」と考える人もいますが、大がかりなリフォームは、費用ほど価格が上がらないことが多いもの。買主が自分好みに直したいこともあります。

まずは、お金をかけずにできる掃除・整理整頓を徹底しましょう。効果を高めたいなら、水回りなど印象を左右する箇所だけ、プロのハウスクリーニングを検討するのも手です。

内覧は、買主が購入を決める最終審査。掃除・整理整頓・水回りの清潔感・明るさ・換気という、お金をかけずにできる工夫で、印象は大きく変わります。第一印象が良ければ、値引き交渉されにくく、希望に近い価格で売れやすくなります。

【交渉】値引き交渉で損しないコツ

【交渉】値引き交渉で損しないコツ

買主が現れると、多くの場合、値引き交渉(指値)が入ります。ここでの対応も、最終的な価格を左右します。

いちばん大切なのは、あらかじめ「いくらまでなら応じるか」の下限を決めておくこと。下限を決めておけば、その場の勢いや、早く売りたい気持ちに流されて、大幅に安く手放すことを防げます。

売り出し価格に、交渉分(数十万円程度)をあらかじめ少し乗せておく方法もあります。ただし、乗せすぎると割高に見えて売れ残るため、相場を軸に、現実的な範囲で調整しましょう。

また、売り急いでいる様子を見せないことも大切です。「早く売りたい」と伝わると、足元を見られて値引きを迫られます。余裕を持ったスケジュールが、交渉力になります。

交渉では、価格だけでなく、引渡し時期や、設備の補修などが条件になることもあります。「価格は下げないが、引渡しを希望に合わせる」といった、価格以外での歩み寄りも一つの方法です。すべてを不動産会社任せにせず、自分の希望の優先順位を担当者に伝えておくと、交渉を有利に進めやすくなります。

なお、買主の不安を減らすことも、値引きを防ぐコツです。建物の状態に不安がある物件なら、ホームインスペクション(住宅診断)を受けておくと、買主が安心して、値引き交渉されにくくなることもあります。

家を高く売るために「やってはいけないこと」

家を高く売るために「やってはいけないこと」

最後に、高く売れなくなる「やってはいけないこと」を確認します。裏を返せば、これを避けるだけで、高く売れる可能性が上がります。

  • 相場を無視した、強気すぎる価格で売り出す(売れ残る)
  • 時間に余裕がなく、売り急いで安値で手放す
  • 1社だけの査定・意見で決めてしまう
  • 内覧の準備を怠り、第一印象を悪くする
  • 告知すべき不具合や事故を隠す

とくに危険なのが、不具合や事故の告知を隠すことです。後で契約不適合責任を問われ、損害賠償や契約解除に発展することも。高く売るどころか、大きな損失になります。

高く売る秘訣は、特別な裏技ではなく、これらの失敗を避け、一つずつ丁寧に準備すること。その積み重ねが、数十万〜数百万円の差を生みます。

高く売れなくなる「やってはいけないこと」にも注意。①相場を無視した強気すぎる価格で売れ残る ②売り急いで安値で手放す ③1社だけで決める ④内覧の準備を怠る ⑤告知すべき不具合を隠す。これらは、高く売るチャンスを自ら手放す行動です。

家を高く売る方法に関するよくある質問(FAQ)

家を高く売る方法に関するよくある質問(FAQ)
家を高く売るために、いちばん効果的なことは何ですか?

相場を正しく把握し、適正価格で売り出すことです。相場より高すぎると売れ残って値下げに追い込まれ、安すぎると損をします。自分で相場を調べ、複数社の査定と照らし合わせて、高すぎず安すぎない価格で売り出すのが、結果的にいちばん高く売れる近道。大がかりなリフォームより、この「価格設定」と「会社選び」が効きます。

査定前に、やっておくべきことはありますか?

自分で相場を調べておくことです。国土交通省の不動産情報ライブラリやポータルサイトで、似た条件の物件の成約価格を確認します。相場観があれば、査定額が高すぎ・安すぎを判断でき、高値査定に惑わされません。また、権利証などの書類を探し、物件の不具合や告知事項を整理しておくと、査定や売却がスムーズです。

内覧前に、どこを重点的に掃除すればいいですか?

水回り(キッチン・浴室・トイレ・洗面)を最優先にしましょう。買主が毎日使う場所として厳しくチェックするため、ここが清潔だと家全体の印象が上がります。次に、玄関(最初に目に入る)、そして各部屋の整理整頓。荷物を減らして広く見せ、カーテンを開けて明るくし、内覧前に換気してにおいを取ると、第一印象が大きく変わります。

リフォームやハウスクリーニングをすれば、高く売れますか?

必ずしも費用を回収できるとは限りません。 大がかりなリフォームは、かけた費用ほど売却価格が上がらないことが多く、買主が「自分好みに直したい」と考えていることも。一方、自分でできる掃除・整理整頓は、お金をかけずに印象を上げられるのでおすすめです。プロのハウスクリーニングは、水回りなど効果の高い箇所に絞るなら、検討する価値があります。

家を高く売れる会社の選び方を教えてください。

査定額の高さだけでなく、その根拠を具体的に説明できるか、販売戦略を示せるか、担当者の対応が誠実かで選びます。3〜5社に査定を依頼し、比較しましょう。地域に密着した会社は、その地域の相場や需要に詳しく、買主を見つけやすいこともあります。大手の販売力と、地域会社の小回り、どちらが自分の物件に合うかを見極めるのがポイントです。

売り時(タイミング)で、価格は変わりますか?

変わることがあります。 一般に、引っ越し需要が高まる1〜3月は買主が動きやすく、売れやすい時期とされます。また、中古は築年数が浅いほど、建物価値が高く評価されやすいです。売ると決めたら、傷みや値下がりが進む前に動くのが基本。ただし「高い時期を待つ」ために先延ばしすると、維持費や築年数の進行でかえって損することもあります。

値引き交渉されたら、応じるべきですか?

あらかじめ「いくらまでなら応じるか」の下限を決めておくことが大切です。多くの取引で値引き交渉(指値)は入ります。下限を決めておけば、その場の勢いで安く手放さずに済みます。売り出し価格に交渉分を少し乗せておく方法もありますが、乗せすぎると割高に見えて売れ残るため、相場を軸に調整を。焦って大幅に値引きしないことが、高く売るコツです。

家を高く売るために、やってはいけないことは何ですか?

①相場を無視した強気すぎる価格で売れ残る ②売り急いで安値で手放す ③1社だけで決める ④内覧の準備を怠る ⑤告知すべき不具合を隠す、の5つです。とくに、不具合や事故の告知を隠すと、後で契約不適合責任を問われ、かえって損をします。正直に、丁寧に準備することが、結果的にいちばん高く売ることにつながります。

居住中でも、家は高く売れますか?

はい、居住中でも高く売れます。むしろ、生活のイメージが伝わりやすい利点も。ただし、内覧時に散らかっていると印象が下がるため、掃除・整理整頓は必須です。内覧の予約が入ったら、その都度、水回りを磨き、荷物を片づけ、明るく換気しておきましょう。空き家にしてから売る場合は、維持費や防犯の面も考えて、タイミングを判断します。

告知すべき不具合や事故は、隠したほうが高く売れますか?

いいえ、隠すのは絶対に避けましょう。 雨漏り・シロアリ・給排水の不具合や、過去の事故(心理的瑕疵)などは、告知する義務があります。隠して売ると、引渡し後に契約不適合責任を問われ、損害賠償や契約解除に発展することも。結果的に、高く売るどころか大きな損失になります。正直に伝えたうえで、価格や条件を調整するのが正しい進め方です。

家を高く売るために、最初にやるべき1つは何ですか?

自分で相場を調べることです。相場を知らなければ、適正価格で売り出すことも、高値査定を見抜くことも、値引き交渉に備えることもできません。国土交通省の不動産情報ライブラリで、近隣の成約価格を無料で確認できます。相場という「基準」を持つことが、高く売るためのすべての準備の出発点になります。

まとめ

家を高く売るためにやるべきことは、①相場を調べて適正価格で売り出す ②根拠と対応で会社を選ぶ ③売り時を逃さない ④内覧の印象を上げるの4つが柱です。

大がかりなリフォームより、相場の把握・会社選び・掃除という、お金をかけずにできる準備が、いちばん効きます。そして、告知事項は正直に、売り急がず、手取りで考えること。

特別な裏技はありません。一つずつの丁寧な準備が、結果的に大きな差を生みます。あわせて【不動産売却の流れ】【不動産売却で損する人の特徴7選】【専任媒介と一般媒介の違い】の記事も参考にしてください。

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の不動産取引、サービス、税務・法務手続きを推奨するものではありません。制度や手続き、相場は変更・時点により異なる場合があるため、最新情報は不動産会社・宅地建物取引士・公的機関の公式情報でご確認ください。最終的な判断は、必要に応じて専門家にご相談ください。

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この記事を書いた人

競売物件を専門に扱う不動産会社に勤務し、その後独立。住宅ローンを返せず家を手放す方を、数多く見てきました。その多くは「知らなかった」ことが原因でした。だからこのサイトでは、買う前・売る前に知っておけば防げることを、デメリットも隠さずに書いています。宅地建物取引士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士。

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