「住宅ローン控除って、よく聞くけど結局いくら得なの?」「うちは使えるの?」——マイホームを考える人にとって、住宅ローン控除は気になる制度のひとつです。
うまく使えば、総額で数百万円の節税になることもある、とても大きな制度です。でも、条件や注意点を知らないと、「思ったより戻らなかった」ということも起こります。
この記事では、宅建FP編集部が、住宅ローン控除の仕組みから、いくら戻るか、受けるための条件、2026年の注意点、そして見落としがちな落とし穴まで、初心者にもわかりやすく解説します。なお、制度の詳細や最新の金額は、国土交通省の住宅ローン減税の案内など、公式情報もあわせてご確認ください。
- 住宅ローン控除の仕組み(0.7%・最大13年)
- いくら戻るかの計算方法と目安
- 控除を受けるための条件
- 2026年に知っておきたい注意点・変更点
- 手続きの流れと、見落としがちな落とし穴
住宅ローン控除とは?(仕組みをやさしく解説)

住宅ローン控除(正式には「住宅借入金等特別控除」、住宅ローン減税とも呼ばれます)とは、住宅ローンを組んで家を買った人の税金が軽くなる制度です。
仕組みはシンプルで、年末時点のローン残高の0.7%にあたる金額が、所得税(引ききれない分は住民税の一部)から差し引かれます。 これが原則として最大13年間続きます。
たとえば年末残高が3,000万円なら、その0.7%=約21万円が、その年の税金から差し引かれる、というイメージです。13年間続くと、総額では大きな金額になります。
ポイントは、これが「払った税金が戻ってくる(軽くなる)」制度だということ。あらかじめ納めている所得税や住民税が、控除の分だけ少なくなる(または還付される)仕組みです。
もう少しくわしく説明すると、まず1年間に納める所得税から控除額が差し引かれます。それでも控除額が余る場合は、翌年の住民税からも一定の上限まで差し引かれます。つまり、所得税→住民税の順に軽くなるという2段構えになっているわけです。
会社員の場合、所得税は毎月の給与から天引き(源泉徴収)されているため、確定申告をすると納めすぎた分が「還付金」として戻ってきます。一方、住民税は翌年度の税額が直接軽くなる形になります。
「戻ってくる」と「軽くなる」が混ざっているのは、この仕組みのためです。
住宅ローン控除は「払った税金が戻ってくる」制度です。年末のローン残高の0.7%が、最大13年間、所得税・住民税から差し引かれます。総額では数百万円の節税になることもある、大きな制度です。
住宅ローン控除でいくら戻る?計算方法

「実際、いくら戻るの?」がいちばん気になるところですよね。基本の計算はこうです。
控除額(年)= 年末のローン残高 × 0.7%
年末残高別の、1年あたりの控除額の目安を見てみましょう。
| 年末のローン残高 | 1年あたりの控除額の目安 |
|---|---|
| 2,000万円 | 約14万円 |
| 3,000万円 | 約21万円 |
| 4,000万円 | 約28万円 |
ただし、注意点が2つあります。
1つ目は、ローン残高は毎年減っていくこと。返済が進むほど残高が減るので、控除額も年々少なくなります。上の表は「その年の残高」での目安です。
2つ目は、納めている税金を超える分は戻らないこと。たとえば控除額が28万円でも、その年に納めた所得税・住民税がそれより少なければ、超えた分は戻ってきません。ここは後ほど「落とし穴」でくわしく触れます。
13年間でいくら戻る?(総額のイメージ)
住宅ローン控除は最大13年間続くので、総額では大きな金額になります。たとえば4,000万円を金利1.0%・35年で借りた場合、残高は年々減っていくため、13年間の控除総額はおよそ260万円前後になる、というシミュレーション例があります(前提や税額で変わります)。
ただし、これも「その人が毎年その分の税金を納めている」ことが前提です。実際の総額は、収入・家族構成・住宅の性能によって変わるので、あくまでイメージとして捉えてください。より正確な金額を知りたい場合は、金融機関やハウスメーカーが用意しているシミュレーションを使うと便利です。
住宅ローン控除を受けるための条件

住宅ローン控除は、誰でも自動で受けられるわけではありません。主な条件を整理します。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 返済期間 | 10年以上の住宅ローンであること |
| 合計所得 | その年の合計所得が2,000万円以下 |
| 居住 | 取得後、原則6か月以内に住み、その年の年末も住んでいる |
| 床面積 | 原則50㎡以上(要件により40㎡以上の場合も) |
| 住宅の性能 | 新築は省エネ性能の基準を満たすこと |
とくに近年は、新築住宅の「省エネ性能」が重要になっています。長期優良住宅・低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅など、性能によって控除の対象や借入限度額(控除の対象となる残高の上限)が変わります。中古住宅にも、一定の要件があります。
床面積の要件も見落としがちです。原則として登記簿上の床面積が50㎡以上であることが必要ですが、一定の所得以下であれば40㎡以上に緩和される場合もあります。
マンションの場合、パンフレット上の面積(壁の中心で測る「壁芯面積」)と、登記簿上の面積(内側で測る「内法面積」)が異なることがあり、パンフレットでは50㎡を超えていても、登記簿では下回ってしまう、というケースもあります。
自分が買おうとしている物件が条件を満たすかどうかは、床面積・省エネ性能・中古なら築年数や耐震性まで含めて、購入前に不動産会社やハウスメーカーに確認しておくと安心です。「控除が使えると思って買ったのに、要件を満たしていなかった」という失敗を避けるためにも、契約前のチェックが欠かせません。
控除を受けるには、返済期間10年以上・合計所得2,000万円以下・床面積などの条件があります。さらに新築は住宅の省エネ性能によって、控除の対象や上限が変わります。自分の物件が条件を満たすか、早めに確認しておきましょう。
住宅の性能で控除の上限が変わる

近年の住宅ローン控除で、いちばん大事になっているのが住宅の省エネ性能です。新築住宅は、性能によって「控除の対象となる借入残高の上限(借入限度額)」が変わります。
| 住宅の種類(新築) | 位置づけ |
|---|---|
| 認定長期優良住宅・低炭素住宅 | 最も控除の枠が大きい |
| ZEH水準省エネ住宅 | 中程度の枠 |
| 省エネ基準適合住宅 | 枠は小さめ/年によっては対象外の動きも |
つまり、同じ借入額でも、家の性能によって受けられる控除額が変わるのです。これから新築を建てる・買う人は、物件の省エネ性能がどれに当たるかを、必ず確認しておきましょう。
さらに、子育て世帯・若者夫婦世帯には、借入限度額が優遇される措置が設けられることがあります。該当する場合は、より大きな控除を受けられる可能性があります。具体的な限度額は年によって変わるため、最新の数字は国土交通省・国税庁で確認してください。
他の制度との併用・対象外になるケース
住宅ローン控除は、条件を満たせば他の支援制度と併用できることがあります。一方で、対象外になるケースもあるので、あわせて押さえておきましょう。
- 併用できることがある制度:住宅取得資金の贈与の非課税特例、各種の補助金など(要件・時期により異なる)
- 対象外になりやすいケース:合計所得が2,000万円を超える年、床面積や省エネ要件を満たさない住宅、つなぎ融資の部分、投資用・セカンドハウスなど
とくに、「つなぎ融資」は控除の対象外になるなど、細かい落とし穴があります。自分のケースが対象になるか不安な場合は、購入前に不動産会社や税務署、税理士に確認しておくと安心です。
【2026年】住宅ローン控除の注意点・変更点

住宅ローン控除は、毎年のように内容が見直される制度です。2026年前後にも、借入限度額や対象となる住宅の条件などが変わる動きがあります。ここでは、時期にかかわらず押さえておきたい注意点を整理します。
- 入居した年の制度が適用される:契約日や引渡し日ではなく、実際に住み始めた日が基準です
- 省エネ性能の要件が厳しくなる方向:新築は、一定の省エネ性能を満たさないと対象外になることがあります
- 子育て世帯・若者夫婦世帯への上乗せ:時期によって、借入限度額が優遇される措置が設けられることがあります
- 中古住宅の要件:築年数や耐震性などの条件があります
こうした制度の細かい数字(借入限度額や控除期間など)は、年によって変わります。正確な最新情報は、必ず国土交通省・国税庁などの公式情報で確認してください。
住宅ローン控除は入居した年の制度が適用されます。契約日や引渡し日ではなく「実際に住み始めた日」が基準。また制度は毎年見直されるため、最新の条件は必ず国土交通省・国税庁などの公式情報で確認してください。
住宅ローン控除の手続きの流れ

住宅ローン控除は、手続きをしないと受けられません。会社員か自営業かで少し流れが違います。
住宅ローン控除を受ける最初の年は、会社員でも自分で確定申告が必要です。入居した翌年の申告期間に手続きします。
住宅ローンの年末残高証明書、登記事項証明書、売買契約書の写し、本人確認書類などを用意します。住宅性能を示す証明書が必要な場合もあります。
会社員なら、2年目以降は勤務先の年末調整で手続きできます。税務署から届く控除証明書と、金融機関の残高証明書を勤務先に提出します。
個人事業主などは、毎年の確定申告で控除を申請します。書類の保管と期限に注意しましょう。
いちばん間違えやすいのが、1年目は会社員でも自分で確定申告が必要という点です。ふだん確定申告をしない会社員にとっては慣れない作業ですが、住宅ローン控除の初年度だけは避けて通れません。ここを忘れると、その年の控除を受けそびれてしまうので注意しましょう。
確定申告の時期は、原則として入居した翌年の2月中旬〜3月中旬です。必要書類(住宅ローンの年末残高証明書、登記事項証明書、売買契約書の写しなど)は、事前にそろえておくとスムーズです。
最近はスマホやパソコンからオンラインで申告できる仕組みも整っているので、活用するとよいでしょう。2年目以降は、会社員なら年末調整で自動的に処理できるので、手間はぐっと減ります。税務署から送られてくる控除証明書を、勤務先に提出するだけです。
【宅建FP編集部より】住宅ローン控除の落とし穴

最後に、宅建FP編集部として、住宅ローン控除で見落としがちな「落とし穴」をお伝えします。ここを知っておくと、判断を誤りません。
納めた税金を超える分は戻らない
「年末残高の0.7%」と聞くと、その全額が戻ってくるように感じます。でも実際は、そもそも納めている所得税・住民税の範囲でしか戻りません。 収入や家族構成によっては、控除額をフルに使いきれないこともあります。
たとえば、年末残高が4,000万円なら控除額は28万円ですが、その年に納めた所得税と住民税(控除対象分)の合計が20万円しかなければ、戻ってくるのは20万円まで。差額の8万円は切り捨てになります。
共働きで一人ひとりの納税額はそれほど多くない、扶養控除などですでに税額が少ない、といった場合は、この「使いきれない」状況が起こりやすくなります。
「最大◯万円」はあくまで上限であって、誰もがその額を満額受けられるわけではない、と理解しておきましょう。
控除ありきで借りすぎない
「控除が増えるから、頭金を入れずに多く借りよう」と考える人がいます。でも、控除で戻る額よりも、借入を増やすことで払う利息のほうが大きくなることが多いのです。控除は家計を助けてくれる「おまけ」であって、借入額を増やす理由にはなりません。判断の軸は、あくまで「返せる額」に置きましょう。
繰上返済のしすぎで控除が減ることもある
もう一つ、意外な落とし穴があります。控除期間中に大きく繰上返済をすると、年末残高が減る分、その年以降の控除額も減ることがあります。もちろん、繰上返済で減らせる利息のほうが大きいケースも多いのですが、「控除期間が終わってから繰上返済する」という選び方もあります。どちらが得かは、金利・残高・控除額のバランスで変わるので、シミュレーションして判断しましょう。
見落としがちなのが、そもそも納めている税金を超える分は戻ってこないこと。「年末残高の0.7%」がまるまる返るとは限りません。控除目当てに借入を増やすと、増える利息のほうが大きくなることも。控除は“おまけ”と考えましょう。
住宅ローン控除チェックリスト
契約前・入居前に、次の項目を確認してみてください。
□ 返済期間は10年以上か
□ 合計所得は2,000万円以下か
□ 物件が床面積・省エネ性能などの条件を満たすか
□ 入居予定の年の制度内容を公式で確認したか
□ 1年目の確定申告の準備をしているか
□ 控除ありきで借りすぎていないか
よくある質問(FAQ)
- 住宅ローン控除とは何ですか?
-
年末のローン残高の0.7%が、最大13年間、所得税や住民税から差し引かれる制度です。返済期間10年以上のローンで家を購入・新築・増改築した人などが対象で、総額では数百万円の節税になることもあります。
- 住宅ローン控除でいくら戻りますか?
-
たとえば年末残高が3,000万円なら、0.7%で年間約21万円が目安です。ただし残高は毎年減っていくため実際はこれより少なくなり、納めている税額を超える分は戻りません。正確な額は自分の税額と住宅性能で変わります。
- 住宅ローン控除を受ける条件は何ですか?
-
主な条件は、返済期間10年以上・合計所得2,000万円以下・床面積などです。新築は住宅の省エネ性能によって対象や上限が変わります。中古住宅にも一定の要件があります。最新の条件は公式情報で確認しましょう。
- 住宅ローン控除の手続きはどうすればいいですか?
-
1年目は確定申告が必要です(会社員も含む)。2年目以降は、会社員なら勤務先の年末調整で手続きできます。自営業などは毎年確定申告します。
- 頭金を入れると住宅ローン控除は減りますか?
-
頭金を入れると借入残高が減るため、控除額も少なくなる傾向があります。ただし控除で戻る額より、頭金で減らせる利息のほうが大きいことも多いため、控除だけを理由に頭金をなくすのは慎重に判断しましょう。
- 2026年に住宅ローン控除は変わりますか?
-
住宅ローン控除は毎年見直されており、借入限度額や対象となる住宅の省エネ性能などが変わることがあります。入居した年の制度が適用されるため、購入前に最新の条件を国土交通省・国税庁などで確認することが大切です。
- 中古住宅でも住宅ローン控除は使えますか?
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使えますが、新築より条件が細かいです。一定の耐震性能を満たすことや、床面積などの要件があります。控除の対象となる借入限度額も新築より小さめに設定されるのが一般的です。購入前に、対象になるか不動産会社や税務署に確認しましょう。
- 共働きでペアローンだと控除はどうなりますか?
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ペアローンや連帯債務では、夫婦それぞれが自分の借入分について控除を受けられます。2人分の所得税・住民税から控除できるため、世帯全体では控除を使いきりやすくなる場合があります。ただし手続きもそれぞれ必要になります。
- 住宅ローン控除でよくある誤解は何ですか?
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多いのが「年末残高の0.7%がまるまる戻る」という誤解です。実際は納めた所得税・住民税の範囲でしか戻りません。もう一つは「控除があるから頭金を入れないほうが得」という考え。増える利息のほうが大きいことも多く、控除だけで判断するのは危険です。
- 住宅ローン控除の手続きを忘れたらどうなりますか?
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1年目の確定申告を忘れても、あとから申告(還付申告)できる場合があります。還付申告は一定期間さかのぼって手続きできるため、忘れに気づいたら早めに税務署に相談しましょう。2年目以降の年末調整で出し忘れた場合も、確定申告で対応できます。
まとめ:控除は「おまけ」、借入額は「返せる額」で
最後に、この記事の要点を整理します。
- 住宅ローン控除は、年末残高の0.7%が最大13年間、税金から差し引かれる制度
- 戻る額は残高×0.7%が目安だが、納めた税金を超える分は戻らない
- 条件は、返済10年以上・所得2,000万円以下・省エネ性能など
- 1年目は確定申告が必要、2年目以降は会社員なら年末調整
- 制度は毎年変わるので、最新情報は公式で確認を
住宅ローン控除は、うまく使えば家計を大きく助けてくれる制度です。ただし、控除を目当てに借りすぎては本末転倒。控除は「おまけ」と考え、借入額は「返せる額」で決めましょう。あわせて【住宅ローンで失敗する人の共通点5選】の記事も参考にしてみてください。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品、不動産取引、住宅ローン契約、税務手続き、投資行動を推奨するものではありません。税制・制度や条件は変更される場合があるため、最新情報は国税庁・国土交通省・金融機関などの公式情報をご確認ください。税額や適用可否など個別の判断は、必要に応じて税理士などの専門家にご相談ください。

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