「住宅ローンの借り換えって、結局お得なの?」「金利が上がってきたけど、今のままで大丈夫?」——2026年、金利が動き始めたことで、借り換えを考える人が急増しています。
でも、借り換えは「金利が下がるから」と安易に飛びつくと、諸費用で損をすることもあります。逆に、条件が合えば総返済額を100万円以上減らせるケースもあります。大事なのは、自分に効果があるかを、数字で見極めることです。
先に結論をお伝えします。借り換えでメリットが出やすいのは、「残高1,000万円以上・残期間10年以上・金利差0.3〜1%以上」の3つがそろう人。そして判断の決め手は、諸費用を何年で回収できるか(損益分岐点)です。
この記事では、宅建FP編集部が、借り換えの仕組みからメリット・デメリット、損益分岐点のシミュレーション、ベストタイミング、そして「借り換えないほうがいい人」まで、やさしく解説します。金利の動向は、住宅金融支援機構のフラット35 借り換えの情報などの公的情報もあわせて確認すると安心です。
- 住宅ローン借り換えの仕組みとメリット・デメリット
- 借り換えで得する3条件(残高・残期間・金利差)
- 損益分岐点のシミュレーション(いくら変わるか)
- 借り換えのベストタイミングと、しないほうがいい人
- 借り換えの流れ・必要書類と、後悔しないための視点
住宅ローンの借り換えとは?基本の仕組み

住宅ローンの借り換えとは、今借りているローンを、別の金融機関の新しいローンで完済し、より条件の良いローンに乗り換えることです。
イメージとしては、A銀行で借りているローンを、B銀行の低い金利のローンで一括返済し、以降はB銀行に返していく、という形です。金利が下がれば、毎月の返済額や総返済額を減らせる可能性があります。
もう少し具体的に流れを見ると、①新しい金融機関(B銀行)に借り換えを申し込み審査を受ける → ②審査に通ったらB銀行と契約し、その融資でA銀行のローンを完済する → ③A銀行の抵当権を抹消し、B銀行の抵当権を設定する → ④以降はB銀行に返済していく、という段取りになります。
つまり、「新しいローンを借りて、古いローンを返す」のが借り換えの本質です。だからこそ、新規と同じように審査や諸費用が発生するわけです。
借り換えでできること・できないこと
借り換えには、できることとできないことがあります。ここを勘違いすると、期待外れになります。
| できること | できないこと |
|---|---|
| 金利を下げる | 返済期間を今より延ばす |
| 金利タイプを変える(変動⇄固定) | 同じ銀行内での借り換え |
| 団信の保障を見直す | 借入名義人の変更 |
とくに「返済期間は延ばせない」「同じ銀行内ではできない」の2点は、見落としがちなので覚えておきましょう。
繰り上げ返済との違い
「借り換え」と「繰り上げ返済」は混同されがちですが、別ものです。繰り上げ返済は、手元資金でローンの一部を前倒しで返すこと。一方、借り換えは、ローンそのものを別の金融機関に乗り換えることです。目的も、必要なお金も違います。
【2026年】なぜ今、借り換えが注目されているのか

借り換えが今これだけ話題になっているのは、金利をめぐる環境が大きく変わったからです。
長く続いた超低金利が終わり、日本銀行の政策転換によって、金利が上昇局面に入りました。 変動金利も1%を超えて上がり始め、固定金利(フラット35など)はそれより先に一段上がっています。この結果、変動と固定の金利差が広がっているのが2026年の特徴です。
こうした局面で大事なのが、「上がりきってから動く」では遅いということ。金利が本格的に上がってから固定に借り換えようとすると、そのときには固定の金利もすでに高くなっています。金利上昇に備えるなら、動きを早めることが効いてきます。
2026年は金利が上がる局面です。変動金利も上昇を始め、固定との差が広がっています。「上がりきってから動く」では、固定への借り換え金利もすでに高くなっていることが多いもの。金利上昇局面こそ、早めの見直しが効いてきます。
住宅ローン借り換えのメリット

借り換えのメリットは、大きく3つあります。「返済額が減る」だけではないのがポイントです。
毎月・総返済額を減らせる
いちばん分かりやすいのが、これです。今より低い金利に借り換えれば、毎月の返済額と、最終的に払う総返済額を減らせる可能性があります。
なぜ減るのかというと、住宅ローンの返済額の内訳は「元金+利息」で、金利が下がると利息の部分が小さくなるからです。借入時から返済が進むほど、また金利差が大きいほど、この利息の軽減効果は大きくなります。
たとえば、残高が大きく残期間も長い人は、わずかな金利差でも軽減額が積み上がります。逆に、残高が少なく残期間が短い人は、金利が下がっても軽減できる利息そのものが少ないため、効果は限定的です。「金利が下がる=必ず得」ではなく、自分の残高・残期間しだいで効果が大きく変わる——ここが借り換えの第一のポイントです(具体的な数字は後のシミュレーションで見ます)。
金利上昇リスクに備えられる
変動金利で借りている人が、固定金利に借り換えれば、将来の金利上昇の不安から解放されます。 これは、金利が動き始めた2026年にこそ効いてくるメリットです。
変動金利は、当初は低くても、半年ごとの見直しで金利が上がれば返済額も増えていきます。「この先どこまで上がるのか」を毎回気にしながら過ごすのは、想像以上にストレスになるものです。固定金利に借り換えれば、当初の返済額は増えることが多いものの、完済まで返済額が一定になり、家計の計画が立てやすくなります。
とくに、教育費のピークを控えた家庭や、収入に余力が少ない家庭では、「返済額が読める」こと自体が大きな安心につながります。この安心を、増える返済額(=安心代)で買う、という考え方です。
団信の保障を手厚くできる
見落としがちなのが、これです。借り換えのタイミングで、団体信用生命保険(団信)に入り直せるため、保障内容を見直すチャンスになります。
たとえば、当初は一般団信だけだった人が、借り換え時にがん保障や三大疾病保障などを付けた団信に切り替える、といったことができます。住宅ローンは長期にわたるため、契約したときと今とでは、家族構成や健康への意識も変わっているはず。「金利の見直しついでに、万一への備えも手厚くする」——お金と安心の両方を一度に見直せるのが、借り換えの隠れた強みです。
ただし注意点もあります。団信は健康状態によって加入できないことがあり、保障を手厚くすると金利に上乗せされる場合もあります。保障の充実と金利負担のバランスを見て選びましょう。
借り換えの効果は「毎月の返済が減る」だけではありません。変動から固定に変えて金利上昇の不安から解放される・団信の保障を手厚くする——お金と安心の両面で見直せるのが借り換えの強みです。
住宅ローン借り換えのデメリット・注意点

一方で、借り換えには見過ごせないデメリットもあります。ここを理解しないと、「借り換えたのに損をした」ということになりかねません。
諸費用がかかる(数十万円)
借り換えの最大の注意点が、これです。借り換えには、次のような諸費用がかかります。
| 費用 | 内容 |
|---|---|
| 事務手数料 | 借入額の2.2%程度、または定額 |
| 保証料 | ローンの保証にかかる費用(無料の商品も) |
| 登記費用 | 旧ローンの抵当権抹消・新ローンの設定 |
| 印紙税など | 契約書にかかる税金 |
合計すると、残債の2〜3%(数十万円)程度になるのが一般的です。たとえば残高2,000万円なら、40万〜60万円ほど。金利が下がっても、この費用を上回る軽減効果がなければ、借り換える意味がありません。だからこそ、後で見る「損益分岐点」の計算が欠かせないのです。
あらためて審査がある
借り換えは、新規の借入と同じように審査があります。 「今、問題なく返済できているから大丈夫」とは限りません。年収・勤続年数・健康状態(団信)・信用情報などが、あらためて見られます。
とくに注意したいのが、健康状態と勤続年数です。当初借りたときから健康状態が変わっていると、団信に加入できず、借り換え自体ができないことがあります。また、転職直後で勤続年数が短いと、審査に通りにくくなることも。借り換えを考えるなら、健康なうち・勤続が安定しているうちに動くのが有利です。
そのほかの注意点
- 同じ銀行内では借り換えできない:借り換えは、別の金融機関に乗り換えるのが基本です。今の銀行で金利を下げたい場合は、金利引き下げの交渉ができるか相談する方法もあります
- 返済期間は今より延ばせない:借り換えは残りの期間内で組み直すのが基本で、期間を延ばして毎月を軽くする、ということは原則できません。毎月の返済を減らしたいなら、金利を下げて対応します
- 手間がかかる:書類の準備や審査、登記の手続きなど、一定の手間と時間(数週間〜1か月程度)がかかります。この手間に見合う効果があるかも判断材料になります
借り換えには、残債の2〜3%(数十万円)ほどの諸費用がかかります。金利が下がっても、この費用を上回る軽減効果がなければ意味がありません。「諸費用を何年で回収できるか(損益分岐点)」で判断しましょう。
住宅ローン借り換えで得する人の3条件

では、どんな人が借り換えで得をするのでしょうか。一般的に、次の3つの条件がそろうほど、メリットが出やすいとされます。
| 条件 | 目安 | 理由 |
|---|---|---|
| ローン残高 | 1,000万円以上 | 残高が大きいほど軽減額も大きい |
| 残りの返済期間 | 10年以上 | 期間が長いほど効果が続く |
| 金利差 | 0.3〜1%以上 | 差が大きいほど返済が減る |
なぜこの3つなのか、一つずつ理由を見ておきましょう。
- 残高1,000万円以上:借り換えの効果(利息の軽減)は、残っている借入額に対して生まれます。残高が大きいほど、同じ金利差でも軽減できる金額が大きくなります。逆に残高が数百万円だと、金利が下がっても軽減額はわずかで、諸費用を回収しきれません。
- 残期間10年以上:軽減効果は、返済が続く期間だけ積み重なります。残り20年あれば効果は20年分、残り5年しかなければ5年分で終わります。期間が長いほど、諸費用を回収してからのプラスも大きくなります。
- 金利差0.3〜1%以上:今の金利と借り換え先の金利の差が、そのまま軽減の源です。差が小さいと軽減額も小さく、諸費用に届きません。一般に0.3%以上、できれば0.5〜1%以上の差があると効果が出やすいとされます。
この3つがそろっている人ほど、諸費用を差し引いても、借り換えでしっかり得をしやすくなります。逆に、どれか一つでも大きく欠けていると、費用倒れになることもあります。まずは、返済予定表を見て、自分の残高・残期間・現在の金利を確認してみましょう。
借り換えでメリットが出やすいのは、一般に「残高1,000万円以上・残期間10年以上・金利差0.3〜1%以上」が目安。3つがそろうほど効果は大きくなります。まずは自分の残高・残期間・金利を確認しましょう。
【シミュレーション】借り換えでいくら変わる?損益分岐点

言葉だけではイメージしにくいので、具体的な数字で見てみましょう。
借り換えのビフォーアフター(例)
残高2,000万円・残期間20年の人が、金利1.5%から0.8%(差0.7%)に借り換えた場合の目安です。
| 毎月返済額 | 残り20年の総返済額 | |
|---|---|---|
| 借り換え前(1.5%) | 約96,500円 | 約2,316万円 |
| 借り換え後(0.8%) | 約90,200円 | 約2,165万円 |
| 差 | 約6,300円減 | 約151万円減 |
このケースでは、毎月約6,300円、総額で約151万円も返済を減らせる計算です。
残高×金利差で見る「月々の軽減額」早見表
借り換えでどれくらい毎月が軽くなるかは、残高と金利差で変わります(残期間20年の目安)。
| 残高 | 金利差0.3% | 金利差0.5% | 金利差1.0% |
|---|---|---|---|
| 1,000万円 | 約1,400円 | 約2,300円 | 約4,500円 |
| 2,000万円 | 約2,700円 | 約4,500円 | 約8,900円 |
| 3,000万円 | 約4,100円 | 約6,800円 | 約13,400円 |
損益分岐点で「得か損か」を判断する
借り換えの最終判断は、損益分岐点で行います。計算はシンプルです。
損益分岐点(回収までの月数)= 諸費用 ÷ 毎月の軽減額
たとえば、諸費用が50万円で毎月6,000円軽減できるなら、「50万円 ÷ 6,000円 ≒ 約83か月(約7年)」で回収できます。残りの返済期間が、この回収期間より長ければ得、短ければ損、という判断になります。金利差だけでなく、必ずこの損益分岐点まで計算しましょう。
モデルケースで見る「得する人・損する人」
イメージしやすいように、2つのケースで考えてみましょう。
ケースA:借り換えで得するBさん(残高2,500万円・残期間25年・金利差0.6%) 残高も残期間も十分あり、金利差もしっかりあります。諸費用を60万円としても、毎月の軽減額が大きいため、3〜5年ほどで諸費用を回収でき、その後は総返済額をしっかり減らせます。まさに借り換え向きのケースです。
ケースB:借り換えが微妙なCさん(残高600万円・残期間8年・金利差0.3%) 残高が少なく、残期間も短め。金利差もわずかです。諸費用が数十万円かかると、回収する前に完済時期が来てしまい、費用倒れになりがちです。この場合は、無理に借り換えず、繰上返済などを検討するほうが賢明です。
同じ「借り換え」でも、条件によって結果は正反対になります。だからこそ、自分の残高・残期間・金利差を当てはめて、損益分岐点で判断することが欠かせません。
借り換え先の金利タイプはどう選ぶ?

借り換えるとき、次に借りる金利タイプをどうするかも大事な判断です。今が変動金利の人を例に、3つのパターンを整理します。
| 借り換えパターン | 向いている人 |
|---|---|
| 変動 → 変動(より低い変動へ) | 金利上昇に家計で備えられ、今より低い変動が見つかる人 |
| 変動 → 全期間固定 | 金利上昇の不安を完全になくし、返済額を確定させたい人 |
| 変動 → 当初固定(10年など) | 教育費のピークなど、一定期間だけ返済を安定させたい人 |
それぞれ、もう少し具体的に見ておきましょう。
変動 → より低い変動へは、当初の返済額をいちばん抑えられる選び方です。ただし、金利上昇のリスクは引き続き自分が背負います。貯蓄や収入に余力があり、金利が上がったら繰り上げ返済や再度の借り換えで対応できる、という人に向いています。
変動 → 全期間固定へは、金利上昇の不安を完全になくす選び方です。当初の返済額は増えますが、完済まで一定になります。「もうこれ以上、金利のニュースに一喜一憂したくない」「返済額を確定させて家計を安定させたい」という人に向いています。2026年のような上昇局面では、この選択の価値が高まっています。
変動 → 当初固定(10年など)へは、その中間です。一定期間だけ金利を固定するので、たとえば「子どもの教育費がかかる10年間は返済額を安定させたい」といったニーズに合います。ただし、固定期間が終わると再び金利変動のリスクが戻る点には注意が必要です。
ポイントは、「どれが得か」ではなく「自分は金利上昇にどこまで耐えられるか」で選ぶこと。借り換えは、金利を下げるだけでなく、この機会に金利タイプそのものを見直せるチャンスでもあります。
借り換えのベストタイミング

借り換えは、タイミングによって効果が変わります。次のような場面が、見直しの好機です。
今より0.3〜1%以上低い金利が見つかったとき
いちばん基本的な合図です。今の金利より0.3〜1%以上低いローンが見つかったら、借り換えを検討する価値があります。特に、借りたのが数年前で当時より金利水準が下がっている、あるいは変動から低い変動へ、といったケースです。
当初固定期間が終わるとき
「当初10年固定」などで借りた人は、固定期間が終わると金利が上がることがよくあります。この固定期間の終了時は、返済額が増える前に見直せる絶好のタイミングです。何もしないと自動的に高い金利に移行してしまうこともあるため、終了の前後で必ず検討しましょう。
残りの返済期間が長い、早いうち
借り換えの効果は、返済が続く期間だけ積み上がります。つまり、残期間が長い早い段階ほど、得られるメリットが大きいのです。「まだ先でいい」と後回しにするほど、残期間が短くなり、効果は小さくなっていきます。迷っているなら、早めに一度シミュレーションしてみる価値があります。
金利上昇が本格化する前
2026年のような金利上昇局面では、固定に借り換えるなら金利が上がりきる前のほうが有利です。固定金利は将来の金利上昇を先取りして動くため、「上がってから」では固定の金利もすでに高くなっています。備えるなら、動きを早めることがポイントです。
借り換えないほうがいい人

一方で、借り換えが向かない人もいます。次に当てはまる場合は、費用倒れになりやすいので注意しましょう。
| こんな人は要注意 | 理由 |
|---|---|
| ローン残高が少ない(1,000万円未満) | 軽減額が小さく諸費用を回収しにくい |
| 残りの返済期間が短い(10年未満) | 効果が続く期間が短い |
| 金利差が小さい(0.3%未満) | 返済の軽減がわずか |
| 健康状態が悪化している | 団信に入れず借り換えできないことも |
| 転職直後・収入が不安定 | 審査に通りにくい |
これらに当てはまる場合、無理に借り換えても、諸費用の分だけ損をすることがあります。
たとえば、残高が少なく残期間も短い人は、金利が下がっても軽減できる利息が小さく、数十万円の諸費用を回収する前に完済してしまいます。この場合は、借り換えより繰り上げ返済のほうが効果的なことが多いです。また、健康状態が悪化している人は、そもそも団信に加入できず借り換えられないこともあるため、無理に進めるより今のローンを大切に返していくほうが現実的です。
大切なのは、「みんながやっているから」「金利が下がるらしいから」といった雰囲気で判断しないこと。「金利が下がる」だけで飛びつかず、自分のケースを損益分岐点で必ず確認しましょう。借り換えは、する・しないの両方が正解になり得ます。
借り換えと住宅ローン控除の注意点

借り換えを考えるとき、忘れてはいけないのが住宅ローン控除への影響です。控除を受けている途中で借り換える場合、いくつか知っておきたいポイントがあります。
- 借り換え後も控除は受けられる:一定の要件(返済期間10年以上など)を満たせば、借り換え後の新しいローンでも、残りの期間について控除を受けられます
- 控除期間は延びない:借り換えても、当初の入居年から数えた控除期間が延長されるわけではありません
- 借入額が減ると控除も減る:借り換えで残高が減れば、控除額(年末残高×0.7%)も少なくなります
つまり、借り換えによる利息の軽減効果と、控除への影響の両方を合わせて考える必要があります。多くの場合は利息軽減のメリットのほうが大きいですが、控除を重視する人は、借り換え前に自分のケースで確認しておくと安心です。心配な場合は、税務署や税理士に相談しましょう。
借り換えでよくある失敗例
借り換えで「しまった」となるのは、たいてい次のようなケースです。先に知っておけば避けられます。
- 金利差だけを見て、諸費用を計算していなかった:金利は下がったのに、諸費用を回収できず総額では損に
- 残期間が短いのに借り換えた:効果が続く期間が短く、費用倒れに
- 健康状態が悪化してから動いた:団信に入れず、借り換えそのものができなかった
- 1社だけで決めた:他社と比較していれば、もっと有利な条件があった
共通するのは、「損益分岐点まで計算していない」「複数比較していない」という点です。この2つを守るだけで、借り換えの失敗はほとんど防げます。
とくに多いのが、金融機関の「毎月◯円お得!」という広告の数字だけを見て決めてしまうケースです。その数字は諸費用を含んでいないことも多く、実際には回収まで何年もかかることがあります。
広告の軽減額を鵜呑みにせず、必ず諸費用を含めた総額と、損益分岐点で判断しましょう。また、健康状態は時間とともに変わるものです。「いつか借り換えよう」と先延ばしにしているうちに団信に入れなくなる、というのも典型的な失敗です。
借り換えを考えているなら、条件がそろっている今のうちに、一度シミュレーションしてみることをおすすめします。
住宅ローン借り換えの流れと必要書類【5ステップ】
借り換えを実際に進めるときの流れを、5つのステップで整理します。
現在の金利・残高・残りの返済期間を、返済予定表などで確認します。借り換えの効果があるかを判断する出発点です。
複数の金融機関の金利・諸費用を比較し、借り換え後の返済額と損益分岐点をシミュレーションします。
借り換えも新規と同様に審査があります。年収・健康状態・信用情報などが見られます。必要書類をそろえて申し込みます。
審査に通ったら新しいローンを契約し、その資金で今のローンを完済します。抵当権の設定・抹消の手続きも行います。
借り換えの実行日は、経過利息を抑えられる月初に設定すると、余計な利息の負担を減らせます。
必要書類は、本人確認書類・収入を証明する書類(源泉徴収票など)・今のローンの返済予定表・物件の登記関係書類などが一般的です。借り換え先の金融機関の案内に従って、早めに準備しておくとスムーズです。
【宅建FP編集部より】借り換えで後悔しないための視点
借り換えを考えるとき、宅建FP編集部として大切にしてほしい視点をお伝えします。
- 「金利を下げる」だけでなく「リスクを下げる」発想も持つ:借り換えは、変動から固定に変えて金利上昇の不安を減らす手段でもあります。目先の得だけでなく、金利が上がっても返せる家計にできるかで考えましょう。
- 必ず損益分岐点まで計算する:「金利が下がる」という言葉だけで判断しないこと。諸費用を回収できるか、残期間で得になるかを、数字で確認しましょう。
- 複数の金融機関を比較する:借り換え先によって、金利も諸費用も違います。1社で決めず、複数を比較して、総額でいちばん有利なところを選びましょう。
借り換えは「金利を下げる手段」であると同時に、「金利タイプを変えてリスクを下げる手段」でもあります。目先の損得だけでなく、金利が上がっても返せる家計にできるか、という視点で判断するのが後悔しないコツです。
住宅ローン借り換えチェックリスト
借り換えを検討する前に、次の項目を確認してみてください。
□ ローン残高は1,000万円以上あるか
□ 残りの返済期間は10年以上あるか
□ 今より0.3〜1%以上低い金利のローンがあるか
□ 諸費用(残債の2〜3%)を把握したか
□ 損益分岐点(諸費用÷月々の軽減額)を計算したか
□ 団信・健康状態の条件を確認したか
□ 複数の金融機関を比較したか
よくある質問(FAQ)
- 住宅ローンの借り換えはどんなときに得ですか?
-
一般的に、残高1,000万円以上・残りの返済期間10年以上・金利差0.3〜1%以上の3つがそろうと、借り換えのメリットが出やすいとされます。金利が下がることで、諸費用を差し引いても総返済額を減らせる可能性があります。
- 借り換えにかかる費用はどれくらいですか?
-
事務手数料・保証料・登記費用などで、残債の2〜3%(数十万円)程度が目安です。この諸費用を上回る利息の軽減効果があるかどうかで、借り換えの得・損が決まります。
- 損益分岐点とは何ですか?どう計算しますか?
-
諸費用を何年で回収できるかの目安です。諸費用 ÷ 毎月の軽減額で計算します。たとえば諸費用50万円・月6,000円軽減なら、約7年で回収でき、それ以降が得になる、という考え方です。
- 変動金利から固定金利に借り換えるべきですか?
-
金利上昇が不安な人には有効な選択肢です。ただし固定は変動より金利が高いため、当初の返済額は増えることが多いです。「返済額を安定させたい」という目的なら価値があります。目先の得だけでなく、安心とのバランスで判断しましょう。
- 同じ銀行内で借り換えはできますか?
-
原則として、同じ金融機関内での借り換えはできません。借り換えは別の金融機関に乗り換えるのが基本です。今の銀行で金利を下げたい場合は、金利引き下げの交渉ができるか相談してみる方法もあります。
- 借り換えで返済期間を延ばせますか?
-
多くの場合、返済期間を今より延ばすことはできません(残りの期間内での借り換えが基本)。毎月の返済を減らしたい場合は、金利を下げることで対応します。期間延長を前提にしないよう注意しましょう。
- 借り換えにも審査はありますか?
-
はい、新規と同様に審査があります。年収・勤続年数・健康状態(団信)・信用情報などが見られます。転職直後や健康状態の変化があると、審査に通りにくくなることもあるため注意が必要です。
- 借り換えると住宅ローン控除はどうなりますか?
-
一定の要件を満たせば、借り換え後も残りの期間について控除を受けられます。ただし控除期間が延びるわけではなく、借入額や条件によって扱いが変わることがあります。心配な場合は税務署や税理士に確認しましょう。
- 借り換えの団信で保障を手厚くできますか?
-
できることがあります。借り換えのタイミングで、がん保障などを付けた団信に入り直せる場合があります。保障を見直せるのは借り換えの隠れたメリットです。ただし健康状態によっては加入できないこともあります。
- 借り換えないほうがいいのはどんな人ですか?
-
残高が少ない・残期間が短い・金利差が小さい人は、諸費用を回収できず損になりがちです。また、健康状態の悪化で団信に入れない人や、転職直後で審査に通りにくい人も、タイミングを見直したほうがよい場合があります。
- 借り換えの相談はどこにすればいいですか?
-
複数の金融機関を比較したい場合は、中立的な住宅ローン比較・相談サービスを使う方法があります。銀行は自社商品中心になりがちなので、複数の選択肢を比較して、損益分岐点まで確認してから判断しましょう。
まとめ:借り換えは「損益分岐点」で判断しよう
最後に、この記事の要点を整理します。
- 借り換えは、今のローンを別の金融機関の低金利ローンで乗り換えること
- メリットは、返済額の圧縮・金利上昇リスクの回避・団信の見直し
- デメリットは、諸費用(残債の2〜3%)・再審査・期間は延ばせないこと
- 得しやすいのは「残高1,000万円以上・残期間10年以上・金利差0.3〜1%以上」
- 最終判断は、諸費用を何年で回収できるか(損益分岐点)で
2026年の金利上昇局面では、借り換えの見直しがより重要になっています。ただし「金利が下がる」だけで飛びつかず、必ず損益分岐点まで計算して、自分にとって本当に得かを見極めましょう。あわせて【変動金利と固定金利はどっちがいい?】や【住宅ローンで失敗する人の共通点5選】の記事も参考にしてみてください。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品、不動産取引、住宅ローン契約、保険商品、投資行動を推奨するものではありません。金利や制度・条件は変更される場合があるため、最新情報は金融機関・公的機関などの公式情報をご確認ください。最終的な判断は、必要に応じて専門家にご相談ください。

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