住宅ローンの事前審査とは?落ちる理由と通過前に確認すべきこと

住宅ローンの事前審査とは?

「気に入った家が見つかったけど、住宅ローンの審査に通るか不安……」——マイホーム探しで、多くの人がぶつかるのが「審査」の壁です。その最初のステップが、事前審査(仮審査)です。

事前審査は、いわば住宅ローンの「入口チェック」。ここでつまずくと、話が前に進みません。でも、仕組みと落ちる理由を知って、しっかり準備しておけば、通過の可能性はぐっと上がります。

この記事では、宅建FP編集部が、事前審査とは何か、本審査との違い、落ちる理由、そして通過前に確認すべきことまで、やさしく解説します。なお、審査で重要になる「信用情報」は、指定信用情報機関のCICなどで自分でも確認できます。

この記事でわかること
  • 事前審査(仮審査)とは何か
  • 事前審査と本審査の違い
  • 審査で見られる項目と、落ちる理由
  • 審査を受ける前に確認・準備すべきこと
  • 審査に落ちたときの対策
目次

住宅ローンの事前審査(仮審査)とは?

住宅ローンの事前審査(仮審査)とは?

事前審査(仮審査とも呼ばれます)とは、本審査の前に行われる、簡易的な審査のことです。「あなたは住宅ローンを組める基準を満たしていますか?」を、短期間でざっくり確認するものです。

なぜこのステップが必要なのでしょうか。住宅の購入では、まず気に入った物件に「買います」という申し込みをし、売買契約を結びます。

しかし、いざローンを申し込んだら審査に通らなかった——となると、契約そのものが白紙になり、売主にも不動産会社にも迷惑がかかります。そこで、契約の前に「この人はローンを組めそうか」をあらかじめ確認しておくのが事前審査です。

買う側にとっても、「いくらまで借りられそうか」の見通しが立つので、安心して物件選びを進められます。いわば、住宅購入をスムーズに進めるための最初の関門なのです。

住宅購入の流れは、おおまかに次のように進みます。

物件探し → 事前審査 → 売買契約 → 本審査 → 融資実行・引渡し

事前審査は、この序盤で行います。物件の購入を申し込む前後に、「この人にいくらまで貸せそうか」の見込みをつかむのが目的です。結果は3〜4日程度で出ることが多く、金融機関によっては翌日に出ることもあります。

事前審査に通っておくと、不動産会社や売主に「この人はローンを組めそうだ」と示せるため、物件購入の話を進めやすくなります。まさに、住宅購入の「入口」となる大切なステップです。

事前審査から融資までの流れ

事前審査が、全体のどの位置にあるのかを整理しておきましょう。

段階 内容
①事前審査 借りられそうか見込みを確認(数日)
②売買契約 物件の購入契約を結ぶ
③本審査 書類をもとに詳しく審査(2週間前後)
④金銭消費貸借契約 ローンの正式契約を結ぶ
⑤融資実行・引渡し お金が実行され、家を受け取る

このように、事前審査は「売買契約の前」に行うのがポイントです。事前審査に通ってから物件の契約に進めば、「契約したのにローンが組めなかった」という最悪の事態を避けられます。

事前審査と本審査は何が違う?

事前審査と本審査は何が違う?

「事前審査に通れば、もう安心?」——そう思いがちですが、そうとは限りません。事前審査と本審査には、はっきりとした違いがあります。

項目 事前審査(仮審査) 本審査
目的 借りられそうか見込みを確認 本当に貸せるか最終確認
確実性 あくまで「見込み」 融資の可否が確定する
確認項目 年収・信用情報など簡易 書類で詳細に確認
日数 3〜4日程度 2週間前後
タイミング 売買契約の前 売買契約の後

いちばん大事なのは、事前審査に通っても、本審査で落ちることがあるという点です。本審査では、提出書類をもとに詳しく確認されます。事前審査で申告した年収や勤務先などが、書類の内容と食い違うと、審査に落ちることもあります。だからこそ、事前審査の段階から正確に申告することが大切です。

なぜ2段階に分かれているかというと、それぞれ役割が違うからです。事前審査は、物件の契約前に「この人に融資できそうか」をスピーディーに判断するためのもの。

一方、本審査は、契約後に「本当に融資してよいか」を、書類や物件の担保価値まで含めてじっくり確認するためのものです。事前審査は申告ベースの簡易チェック、本審査は証拠書類にもとづく本格チェック、とイメージするとわかりやすいでしょう。

だからこそ、事前審査に通ったからといって安心しきらず、本審査まで気を抜かないことが大切です。とくに、事前審査から本審査までの間に転職したり、新たなローンやクレジットを組んだりすると、状況が変わって落ちることがあるので注意しましょう。

事前審査は「借りられそうか」の見込みを、本審査は「本当に貸せるか」を確認するものです。事前審査に通っても、本審査で落ちることはあります。事前と本審査で申告内容がズレないよう、正確に申告することが大切です。

事前審査で見られる項目・審査基準

事前審査で見られる項目・審査基準

事前審査では、主に次のような項目が見られます。銀行は「貸したお金を、無理なく返してもらえるか」という視点でチェックしています。

  • 年収・返済負担率:年収に対して返済が重すぎないか
  • 信用情報:過去にローンやカードの延滞がないか
  • 他の借入:車のローンやカードローンなどの状況
  • 勤続年数・雇用形態:収入が安定しているか
  • 年齢(申込時・完済時):完済時に高齢になりすぎないか
  • 健康状態:団体信用生命保険(団信)に加入できるか
  • 物件の担保評価:万一のとき回収できるか

これらを総合して、「融資できそうか」が判断されます。とくに、信用情報と他の借入は、あとで見るように審査落ちの大きな原因になりやすいポイントです。

見落とされがちなのが「健康状態」です。住宅ローンの多くは、団体信用生命保険(団信)への加入が条件になっています。団信は、契約者に万一のことがあったときにローンが完済される保険なので、加入できないと、そもそも借りられないことがあります。

持病があると加入が難しくなる場合もあるため、健康なうちに動くのが有利です。また、「完済時の年齢」も重要です。

多くの金融機関は完済時年齢の上限(80歳など)を設けており、借入時の年齢が高いと、返済期間を短くせざるを得ず、毎月の返済が重くなることもあります。

国土交通省の調査でも、多くの金融機関が審査で考慮する項目として、完済時年齢・借入時年齢・健康状態・年収・勤続年数・返済負担率・担保評価などが上位に挙がっています。

とくに「完済時年齢」と「健康状態(団信に入れるか)」は、9割以上の金融機関が見ている重要項目です。年齢や健康は自分では動かしにくい部分なので、借入額や返済期間で調整して、無理のない計画にすることが現実的な対策になります。

事前審査の必要書類と審査にかかる日数

事前審査の必要書類と審査にかかる日数

事前審査では、次のような書類の提出(または内容の申告)を求められます。本審査より簡易ですが、正確に用意しておくとスムーズです。

種類 書類の例
本人確認 運転免許証・マイナンバーカードなど
収入の確認 源泉徴収票・確定申告書の控えなど
物件の確認 販売図面・物件概要書など
他の借入の確認 返済予定表・残高がわかるものなど

審査にかかる日数は、事前審査で3〜4日程度が一般的です。ネット銀行などでは即日〜数日で結果が出ることもあれば、1週間ほどかかることもあります。一方、本審査は2週間前後とより時間がかかります。

人気物件は他の購入希望者との競争になることもあるため、事前審査は物件が決まってから慌てて受けるのではなく、物件探しと並行して早めに受けておくのがおすすめです。物件の購入スケジュールと照らして、余裕をもって申し込みましょう。

事前審査に落ちる理由

事前審査に落ちる理由

事前審査に落ちる確率は、一般的に10%程度といわれます。決して低くはありません。落ちる主な理由を整理しました。

落ちる理由 内容
信用情報のキズ 過去の延滞・支払い遅れの記録がある
他の借入が多い 車・カードローン・奨学金などの残債
借入額が大きすぎる 年収に対して返済負担率が高い
勤続年数が短い 転職直後などで収入が不安定
完済時年齢が高い 完済が80歳を超えるなど
健康状態 団信に加入できない可能性

とくに多いのが、信用情報のキズと他の借入です。もう少しくわしく見ておきましょう。

  • 信用情報のキズ:クレジットカードや携帯電話の分割払い、奨学金などの延滞・滞納の記録が残っていると、審査に大きく響きます。長期の延滞は「ブラック」と呼ばれる状態になり、数年間は新たな借入が難しくなります。「昔、うっかり支払いを忘れた」という心当たりのないケースも少なくありません。
  • 他のローン返済中:車のローンやカードローンがあると、その分だけ返済負担率が上がり、住宅ローンに回せる枠が減ります。
  • 勤続年数が短い:転職直後などは、収入の安定性が低いと見られがちです。目安として、最低でも勤続1年以上あると通りやすくなります。
  • 完済時年齢が高い:完済が80歳を超えるような借り方は、審査で不利になります。

これらの多くは、申し込む前の準備で防げるものです。だからこそ、次に見る「事前の確認」が重要になります。原因をあらかじめ知っておけば、必要以上に審査を恐れることはありません。

事前審査で落ちる原因のトップは、信用情報のキズ(過去の延滞など)と、他の借入です。本人が忘れているケースも多いので、申し込む前に信用情報を自分で確認しておくと、思わぬ審査落ちを防げます。

事前審査を受ける前に確認・準備すべきこと

事前審査を受ける前に確認・準備すべきこと

審査に不安があるなら、申し込む前の準備で通過の可能性を高められます。次の4つを、順番に進めておきましょう。

STEP
信用情報を自分で確認する

過去の延滞やカードの支払い遅れは、信用情報に記録が残ります。申し込む前に信用情報機関で開示し、心当たりがないか確認しておくと安心です。

STEP
他の借入・カードの枠を整理する

車のローンやカードローン、使っていないカードの枠も審査に影響します。不要なものは完済・解約しておくと、借入枠に余裕が生まれます。

STEP
年収・勤続などの情報を正確にそろえる

事前審査と本審査で申告内容がズレると、審査落ちの原因になります。源泉徴収票などで、正確な年収・勤続年数を把握しておきます。

STEP
無理のない借入額で申し込む

返済負担率が高すぎると審査に通りにくくなります。手取りで無理なく返せる額に抑えて申し込むと、通過しやすくなります。

とくに大切なのが、いちばん最初の信用情報の確認です。過去の延滞などは、自分では気づいていないことも多いもの。CICなどの信用情報機関で開示すれば、自分の記録を確認できます。心当たりがあれば、整理してから申し込むことで、思わぬ審査落ちを防げます。

信用情報の開示は、スマホやパソコンから数百円程度の手数料で申し込めます。

「クレジットカードの支払いをうっかり数日遅れた」「携帯電話の分割払いを滞納したことがある」といった記録が残っていないか、住宅ローンを申し込む前に一度チェックしておくと安心です。

もし気になる記録があった場合でも、延滞を解消してから一定期間が経てば、記録は消えていきます。あわてて申し込むより、状態を整えてから申し込むほうが、通過の可能性は高まります。

また、審査に不安がある場合は、いきなり1社に本命として申し込むのではなく、条件の異なる複数の金融機関を検討しておくのも一つの手です。金融機関によって審査の基準は違うため、通りやすさにも差があります。ただし、短期間に何社も申し込むと信用情報に照会履歴が残るため、2〜3社に絞って比較するのが現実的です。

審査に不安があるなら、申し込む前に信用情報の開示で自分の状態を確認し、不要な借入やカードローンの枠を整理しておきましょう。準備しておくだけで、通過の可能性はぐっと上がります。

事前審査に落ちたらどうする?

事前審査に落ちたらどうする?

もし事前審査に落ちてしまっても、諦める必要はありません。落ちた原因に合わせて対策すれば、通る可能性は十分にあります。

  • 他の借入を整理する:車のローンやカードローンを完済・解約する
  • 頭金を増やす/借入額を抑える:返済負担率を下げると通りやすくなる
  • 別の金融機関に申し込む:審査基準は金融機関によって異なる
  • 勤続年数を積む:転職直後なら、少し時間をおいて再挑戦する

金融機関によって審査の基準は違うため、1社で落ちても、別の銀行では通ることもあります。たとえば、ネット銀行は金利が低い分、審査が比較的厳しめといわれることがあります。

一方で、勤務先や物件との関係が深い金融機関、フラット35のような公的な色合いの強いローンなど、審査の視点が異なる選択肢もあります。1社の結果だけで「自分は家を買えない」と思い込む必要はありません。

ただし、やみくもに何社も申し込むのはおすすめできません。短期間に多数の申し込みをすると、その照会履歴が信用情報に残り、かえって「あちこちに申し込んで断られているのでは」と見られることもあります。大切なのは、まず落ちた原因を把握すること

他の借入が原因なら整理する、勤続年数が原因なら少し時間をおく、というように、原因に合った対策を取ってから、2〜3社に絞って再挑戦するのが賢いやり方です。

事前審査に落ちても、諦める必要はありません。落ちた原因を把握し、他の借入の整理や頭金の増額、別の金融機関への申込などで、通る可能性は十分にあります。焦らず、原因に合った対策を取りましょう。

事前審査に通っても、本審査で落ちることがある

意外と見落とされがちなのが、事前審査に通っても本審査で落ちるケースです。主な原因は次のとおりです。

  • 事前審査で申告した年収・勤務先などが、提出書類の内容と食い違っていた
  • 事前審査から本審査までのあいだに、転職した・新たな借入をした
  • 物件の担保評価が、想定より低かった
  • 健康状態の告知で、団信に加入できなかった

本審査では、提出書類をもとに詳しく確認されます。事前審査はあくまで「見込み」なので、油断は禁物です。せっかく物件の契約まで進んだのに本審査で落ちると、大きなショックになります。事前審査から本審査までの間は、転職や新たな借入・高額なクレジット利用は避け、申告内容と書類が一致するようにしておきましょう。

事前審査の前チェックリスト

申し込む前に、次の項目を確認しておきましょう。

□ 信用情報を開示して、延滞などの記録を確認したか
□ 他の借入・使っていないカードの枠を整理したか
□ 年収・勤続年数を正確に把握しているか
□ 借入額は返済負担率(手取りの20〜25%)に収まっているか
□ 事前審査と本審査で申告内容がズレないようにしたか

よくある質問(FAQ)

住宅ローンの事前審査とは何ですか?

事前審査(仮審査)は、本審査の前に行う簡易的な審査です。申込者が住宅ローンを組める基準を満たしているか、融資の見込みを短期間で確認します。結果は3〜4日程度で出ることが多いです。

事前審査と本審査は何が違いますか?

事前審査は「借りられそうか」の見込み、本審査は「本当に貸せるか」の最終確認です。本審査のほうが確認項目が多く、時間もかかります(2週間前後)。事前に通っても本審査で落ちることはあります

事前審査に落ちる理由は何ですか?

主な理由は、過去の延滞など信用情報のキズ、他の借入が多い、年収に対して借入が大きすぎる、勤続年数が短い、健康状態、完済時年齢が高すぎるなどです。信用情報と他の借入が原因になることが特に多いです。

事前審査の前に何を確認すればいいですか?

まず信用情報を自分で開示して確認し、心当たりのある延滞などがないかチェックしましょう。あわせて、不要な借入やカードローンの枠を整理しておくと、審査に通りやすくなります。

事前審査に落ちたらもう家は買えませんか?

そんなことはありません。落ちた原因に合わせて対策すれば、通る可能性は十分にあります。他の借入の整理、頭金の増額、借入額を抑える、別の金融機関に申し込む、などの方法があります。

事前審査は複数の銀行に申し込んでもいいですか?

はい、複数申し込むこと自体は可能です。金利や条件を比較できるメリットもあります。ただし短期間に多数申し込むと、信用情報に照会履歴が残る点は知っておきましょう。2〜3社に絞って比較するのが現実的です。

転職したばかりでも事前審査に通りますか?

通る可能性はありますが、勤続年数が短いと不利になりやすいです。目安として勤続1年以上あると通りやすくなります。転職直後は、条件の緩い金融機関を選ぶ、頭金を多めに用意する、などの工夫が有効です。同業種へのキャリアアップ転職なら評価されることもあります。

産休・育休中でも住宅ローンの審査は受けられますか?

受けられますが、復職が前提になることが多く、金融機関によって扱いが異なります。復職予定を証明する書類を求められることもあります。世帯収入が一時的に下がる時期でもあるため、無理のない借入額にすることが大切です。

ネット銀行と対面の銀行で審査は違いますか?

審査の基準や項目は金融機関ごとに異なります。ネット銀行は金利が低い一方で審査がやや厳しめといわれることもあります。1社で落ちても、別の銀行では通ることがあるので、条件を比較しながら複数検討するのがおすすめです。

事前審査に通ったら、必ずその銀行で借りないといけませんか?

いいえ。事前審査に通っても、その銀行で借りる義務はありません。複数の銀行で事前審査を受け、金利や条件を比較したうえで、本審査に進む銀行を選べます。事前審査は、あくまで選択肢を広げるためのステップと考えましょう。

まとめ:準備すれば、事前審査は怖くない

最後に、この記事の要点を整理します。

  • 事前審査は、本審査の前に行う簡易的な「入口チェック」
  • 事前審査に通っても、本審査で落ちることはある
  • 落ちる主な理由は、信用情報のキズと他の借入
  • 申し込む前に、信用情報の確認と借入の整理をしておく
  • 落ちても、原因に合わせて対策すれば通る可能性は十分にある

事前審査は、準備しておけば必要以上に恐れることはありません。信用情報を確認し、借入を整理し、無理のない借入額で申し込む——この基本を押さえて、安心して住宅購入を進めましょう。あわせて【住宅ローンで失敗する人の共通点5選】の記事も参考にしてみてください。

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品、不動産取引、住宅ローン契約、保険商品、投資行動を推奨するものではありません。審査基準や制度は金融機関・時期によって異なり変更される場合があるため、最新情報は金融機関などの公式情報をご確認ください。最終的な判断は、必要に応じて専門家にご相談ください。

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この記事を書いた人

競売物件を専門に扱う不動産会社に勤務し、その後独立。住宅ローンを返せず家を手放す方を、数多く見てきました。その多くは「知らなかった」ことが原因でした。だからこのサイトでは、買う前・売る前に知っておけば防げることを、デメリットも隠さずに書いています。宅地建物取引士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士。

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