住宅ローンが払えない。この状況は、想像以上に多くの人が直面します。病気、失業、収入減、離婚——きっかけはさまざまです。
はじめに、いちばん大切なことをお伝えします。私は以前、競売物件を扱う仕事で、住宅ローンを返せずに家を手放した方を数多く見てきました。そこで痛感したのは、早く動いた人ほど、選べる道が多く残っていたということです。
逆に、「誰にも言えない」と一人で抱え、滞納を続けてしまった人は、気づいたときには競売しか残っていませんでした。
この記事では、宅建士・FPの視点から、手遅れになる前にできることを、脅さず、正直に整理します。まず相場を知るなら、国土交通省の不動産情報ライブラリで近隣の成約価格を確認できます。
- 住宅ローンを滞納すると、いつ・どうなるか(流れと期間)
- 競売になると実際どうなるか(現場のリアル)
- 家を残せるかもしれない正規の手段
- 任意売却とは何か、競売との違い
- 任意売却のデメリットと、悪質業者の見分け方
- 信用情報はどうなり、いつ回復するか
- 住宅ローンが払えないときの相談先
まず結論|早く動くほど、選べる道は多い

住宅ローンが払えないとき、時間の経過とともに、選択肢は減っていきます。これが、この記事でいちばん伝えたいことです。
選択肢は、時間とともに消えていく
大まかに言うと、こういう順で道が狭まります。
| 段階 | まだ残っている選択肢 |
|---|---|
| 滞納する前 | 返済方法の変更、借り換え、通常売却——ほぼ全部 |
| 滞納〜数か月 | 返済方法の変更、任意売却、通常売却 |
| 期限の利益喪失後 | 任意売却(急ぐ必要あり)、債務整理 |
| 競売の入札直前 | ぎりぎり任意売却が間に合うかどうか |
| 落札後 | ほぼ残っていない |
つまり、動くのが早いほど、家を残せる可能性も、有利に売れる可能性も高いのです。
だから、まず「相談」してください
やるべきことは、シンプルです。滞納する前、または滞納した直後に、借入先の金融機関へ相談すること。
「相談したら、厳しく取り立てられるのでは」と不安になるかもしれません。でも、金融機関も、貸したお金が返らないより、条件を変えてでも返してもらうほうを望みます。黙って滞納を続けるのが、いちばん道を狭めます。
一人で抱え込まないこと。これが、最大の対策です。
結論:住宅ローンが払えないときは、「早く動く」ほど選べる道が多いです。滞納が進むと、家を残す手段から順に消えていきます。まず、滞納する前・した直後に、借入先の金融機関へ相談してください。一人で抱えないことが、いちばんの対策です。
住宅ローンを滞納すると、どうなるか

まず、滞納するとどういう順序で進むのかを知っておきましょう。全体像がわかると、落ち着いて動けます。
滞納から競売までの流れ
金融機関によって前後しますが、おおまかな流れは次のとおりです。
| 時期の目安 | 起こること |
|---|---|
| 滞納1〜2か月 | 電話や書面で督促が来る |
| 滞納3か月ごろ | 催告書が届き、「期限の利益喪失」が予告される |
| 滞納6回(約6か月)ごろ | 期限の利益を失い、保証会社が代位弁済 |
| その後 | 差押え → 競売開始決定 → 期間入札 |
| 滞納開始から入札まで | おおむね10〜14か月が目安 |
「期限の利益喪失」が分かれ目
聞き慣れない言葉ですが、「期限の利益喪失」がひとつの分かれ目です。
これは、「毎月分割で返す権利」を失い、残りのローンを一括で請求される状態のこと。ここまで来ると、通常の返済に戻すのは難しくなります。
その後、保証会社があなたに代わって金融機関へ返済し(代位弁済)、今度は保証会社があなたに全額を請求します。そして競売の手続きへ——という流れです。
月数を数えるより、早く相談を
ここで強調したいのは、月数はあくまで目安であり、金融機関によって違うということです。「まだ3か月だから大丈夫」と数えるのは危険です。
大切なのは、この流れが進む前に動くこと。次の章から、具体的な選択肢を見ていきます。
【現場のリアル】競売になると、どうなるか

「最悪、競売でいいや」と考える人もいます。でも、競売がどういうものかを知ると、その考えは変わるはずです。現場で見てきたことをお伝えします。
競売は、安く落札される
まず価格です。競売で落札される金額は、市場価格の6〜7割程度になることが多いです。
理由は、買う側にとってリスクが高いから。中を見られない、引き渡しの保証がない、住んでいる人がいるかもしれない。そのぶん、安くしか値がつきません。
つまり、同じ家でも、競売だと数百万円安く手放すことになりがちなのです。
残った借金は、消えない
そして、安く売れても、借金は残ります。
3,000万円のローンが残っている家が、競売で2,000万円で落札されれば、残り1,000万円の借金は、そのまま残る。家を失ったうえに、借金だけが残るのです。
情報が公開され、退去も強制される
競売になると、物件の情報が裁判所やインターネットで公開されます。住所や間取り、時には室内の写真まで。近隣に知られる可能性があります。
さらに、退去は強制です。時期も費用も、自分では選べません。落札されれば、決められた期日までに出ていくことになります。
- 市場価格の6〜7割程度でしか売れない
- 残った借金はそのまま残る
- 物件情報が公開される
- 退去の時期・費用を自分で選べない
「もっと早く動いていれば」
現場でいちばん多く聞いたのが、この言葉でした。
競売が決まってから相談に来る方の多くは、「もう手遅れ」の段階でした。もう少し早ければ、任意売却で数百万円高く売れた。連帯保証人に迷惑をかけずに済んだ。近所に知られずに引っ越せた——そうした選択肢が、時間切れで消えていました。
反対に、滞納する前や早い段階で動いた方は、家を残せたり、傷を最小限にして再出発できたりしていました。同じ「払えない」でも、動く早さで結末が大きく変わるのです。
競売は、避けられるなら避けたほうがいい。これが、現場を見てきた実感です。だからこそ、その前にできることを知っておいてください。
競売になると、家は市場価格の6〜7割程度で落札されるのが一般的で、残った借金(残債)は残り、退去も強制されます。しかも情報が公開されます。競売は、避けられるなら避けたほうがいい——これが現場を見てきた実感です。
家を「残せる」かもしれない、正規の手段

家を手放す話の前に、残せる可能性のある方法から見ていきます。まだ滞納が浅いなら、こちらが先です。
金融機関に「返済方法の変更」を相談する
いちばん現実的なのが、借入先の金融機関に、返済方法の変更を相談することです。
たとえば、住宅金融支援機構(フラット35などの窓口)には、返済が困難な場合のメニューがあります。公式サイト(返済方法の変更)に記載されている主なものは、次のとおりです。
- 返済期間の延長(最長15年)——毎月の返済額を下げる
- 元金据置(利息のみの支払い、最長3年)——失業中、または収入が20%以上減少した方が対象
これらは、申込先は返済中の金融機関です。まずは電話一本、事情を伝えるところから始まります。ただし、審査があり、希望どおりにならない場合もあります。
借り換えという手も
金利の高いローンを組んでいるなら、より低金利のローンへ借り換えることで、返済が楽になる場合があります。詳しくは【住宅ローン借り換えのメリット・デメリット】でも解説しています。
ただし、すでに滞納している場合、借り換えの審査は通りにくくなります。これも「早く動く」ほど選べる手段です。
個人再生という選択肢(専門家の領域)
他にも借金があって、住宅ローンだけでなく全体が苦しい場合、個人再生の「住宅ローン特則」を使うと、家を残したまま、他の借金を圧縮できる可能性があります。
ただし、これは弁護士・司法書士に相談する領域です。手続きも要件も専門的なので、ここでは「そういう道もある」とだけお伝えします。判断は専門家に委ねてください。
「住み続けたい」ならリースバックも
どうしても今の家に住み続けたい、という場合には、リースバックという方法もあります。家を売却したうえで、その家を借りて住み続ける仕組みです。まとまった資金が入り、引っ越しも不要です。
ただし、リースバックは注意点も多い方法です。売った後は毎月家賃が発生し、売却価格は相場より低くなる傾向があります。契約内容によっては住み続けられる期間が限られることもあります。詳しくは【仲介・買取・リースバックの違い】で解説しているので、あわせてご覧ください。
住宅ローンが払えない状況でのリースバックは、残債との兼ね合いなど条件が複雑になります。安易に飛びつかず、金融機関や専門家に相談したうえで検討してください。
団信の保障も確認する
見落とされがちですが、返済が困難になった理由が病気やケガの場合、団体信用生命保険(団信)を確認してください。
団信に加入していれば、所定の高度障害や、がん・三大疾病などの状態に該当したときに、ローンが弁済されることがあります。
保障の範囲は加入している団信によって異なるため、まずは自分の契約内容を確認しましょう。「払えない」と諦める前に、使える保障がないかを見ておく価値があります。
家を手放す前に、残せる可能性のある手段があります。金融機関への返済方法の変更(返済期間の延長は最長15年など)や、状況によっては個人再生の住宅ローン特則。ただし後者は弁護士・司法書士の領域です。まず金融機関に相談を。
家を手放すなら|任意売却とは

返済を続けるのが難しく、家を手放すと決めたなら。競売を待つのではなく、「任意売却」という方法があります。
任意売却とは
任意売却とは、売却代金でローンを返しきれない場合でも、金融機関の同意を得て、通常の売却に近い形で家を売る方法です。
競売のように裁判所の手続きで安く売られるのではなく、自分で買主を探して、市場に近い価格で売る。その分、有利な条件になりやすいのです。
競売との違い
競売と任意売却を、4つの点で比べます。
| 競売 | 任意売却 | |
|---|---|---|
| 価格 | 市場の6〜7割程度 | 市場価格に近い |
| プライバシー | 情報が公開される | 通常の売却と同じ見え方 |
| 引っ越し | 時期・費用を選べない | 交渉の余地がある |
| 残債 | そのまま残る | 分割返済を協議できる場合も |
総じて、任意売却のほうが、売主に有利な点が多いとされます。近隣に知られにくく、残った借金の返し方も相談できる。だから、競売になる前に検討する価値があります。
ただし「借金がゼロ」にはならない
ここは誤解しないでください。任意売却をしても、残った借金(残債)は残ります。
競売より高く売れれば残債は小さくなりますし、分割で返す方法を金融機関と協議できる場合もあります。でも、ゼロにはなりません。
「任意売却すれば借金がなくなる」と説明する業者がいたら、それは警戒すべきサインです。
任意売却のデメリットと、要件

良い面だけでなく、注意点も正直に書きます。
デメリットと制約
- 残債は残る(分割協議はできても、借金そのものは消えない)
- 信用情報に事故情報が登録される(後述)
- 債権者(金融機関・保証会社)の同意が必須——同意が得られなければできない
- 時間的な制約がある——競売の開札日の前日まで、などの期限
とくに重要なのが、債権者の同意が必要なことと、時間の制約です。
任意売却では、売るときに抵当権を抹消してもらう必要があり、それには金融機関の承諾が欠かせません。そして、競売が近づくほど、間に合わなくなります。
つまり任意売却にも期限があり、ここでも「早く動くこと」が決定的なのです。
見落としがちな、周りへの影響
もう一つ、実務で見てきて重要だと感じるのが、自分以外への影響です。ここを見落とす人が多くいます。
連帯保証人がいる場合、あなたが返せなくなると、その請求は連帯保証人に向かいます。親や親族に保証人を頼んでいるなら、迷惑がおよぶ前に、早めに事情を共有しておくべきです。
黙って進めて、ある日突然、保証人に督促が届く——という事態は、人間関係にも深い傷を残します。早めの一報が、関係を守ることにもつながります。
共有名義(夫婦の共有やペアローン)の場合も注意です。売却には共有者全員の同意が必要で、片方だけの判断では進められません。離婚がからむと、さらに複雑になります。ペアローンの注意点は【ペアローンで後悔する人の特徴】でも解説しています。
税金や他の滞納も、忘れずに
見落とされがちですが、住宅ローン以外の滞納も影響します。
固定資産税やマンションの管理費・修繕積立金を滞納していると、それらにも督促や差押えのリスクがあります。売却するときには、これらの清算も必要です。「ローンだけ」で考えず、家にまつわるお金の全体を把握しておきましょう。
【中立の視点】悪質な任意売却業者の見分け方

ここは、他の記事があまり書かない話です。任意売却を紹介するサイトの多くは、任意売却業者自身が運営しているため、業者の負の側面を書きにくいのです。
私は、その立場ではありません。だから正直に書きます。任意売却をうたう業者には、悪質なものが混じっています。
こういう業者は避ける
- 先に着手金・コンサルティング料を求める——費用は売却代金から精算されるのが基本
- 引っ越し費用を過大に約束する——金額は債権者との交渉次第で、確約できない
- 関係する投資家に、相場より安く売ろうとする——利益相反
- 「借金がゼロになる」など、うますぎる説明をする
なぜ、つけ込まれるのか
住宅ローンが払えない人は、切迫していて、冷静な判断が難しい状態にあります。悪質な業者は、そこにつけ込みます。
「今すぐ契約しないと競売になる」と急かし、その場でサインを迫る。急かす相手ほど、危ないと考えてください。
まともな業者なら、持ち帰って検討することを嫌がりません。契約を急かされても、その場でサインせず、次章の正規の相談先にもあたってください。
任意売却をうたう業者には、悪質なものが混じります。先に着手金・コンサル料を求める/引越し費用を過大に約束する/関係する投資家に安く流す。こうした業者は避けてください。費用は売却代金から精算されるのが基本です。
信用情報は、どうなるのか

「ブラックリストに載る」という言葉をよく聞きます。ここを正確に整理します。
「ブラックリスト」という名簿は存在しない
まず、「ブラックリスト」という名簿は、実在しません。
実際に起きているのは、信用情報機関に「事故情報」が登録されることです。長期の延滞や、保証会社による代位弁済などがあると、その情報が記録されます。これを俗に「ブラックリスト」と呼んでいるだけです。
いつまで登録されるか
登録される期間は、機関や事由によって異なります。
たとえば、信用情報機関のひとつCICでは、公式サイト(信用情報の保有期間)によると、契約終了後5年以内、延滞などの情報を保有するとされています。
ただし、信用情報機関はCIC・JICC・KSCの3つがあり、それぞれ登録項目や期間の扱いが違います。「一律で5年」と断言はできません。
正確な状況は、開示で確認を
自分の信用情報がどうなっているか、正確に知りたいなら、各機関に情報開示を請求してください。オンラインや郵送で確認できます。
この間は、新たな借入やクレジットカードの利用が難しくなるのが一般的です。ただ、永久に続くものではありません。
「ブラックリスト」という名簿は実在しません。実際は、信用情報機関に事故情報が登録される状態を指します。CICでは契約終了後5年以内など、機関・事由で扱いが異なります。正確な状況は各機関の開示で確認してください。
住宅ローンが払えないときの、相談先

最後に、一人で抱え込まないための相談先をまとめます。ここが、この記事のいちばん実用的な部分かもしれません。
正規の相談先一覧
- 借入先の金融機関——返済方法の変更。滞納前の相談がもっとも有効
- 住宅金融支援機構——フラット35などの利用者の返済相談
- 法テラス(日本司法支援センター)——無料の法律相談、弁護士費用の立替(収入要件あり)
- 消費生活センター——消費者ホットライン188
- 全国銀行協会のカウンセリングサービス——相談窓口
- 弁護士・司法書士——債務整理が必要な場合
業者の広告より、まず公的な窓口へ
「住宅ローン 払えない」と検索すると、任意売却業者の広告がたくさん出てきます。その中には、前述のような悪質な業者も混じっています。
だからこそ、業者に飛びつく前に、まず公的・専門の窓口にあたってください。無料で相談できるところもあります。
相談前に、そろえておくとよいもの
相談をスムーズにするために、手元に用意しておくとよいものがあります。話が早く進み、より具体的なアドバイスをもらえます。
- 住宅ローンの返済予定表(残高・毎月の返済額がわかるもの)
- 滞納している場合は、届いた督促状・催告書
- 家計の収支がわかるメモ(毎月の収入と支出)
- 他に借金があれば、その一覧(借入先・残高)
完璧にそろえる必要はありません。わかる範囲で構いませんが、「毎月いくら足りないのか」がはっきりしていると、相談相手も打つ手を提案しやすくなります。何も持たずに「払えません」とだけ伝えるより、ずっと前に進みます。
家を売ると決めたなら
家を手放す方向で進めるなら、まず相場を知り、複数の不動産会社に査定を依頼するところからです。任意売却の実績がある会社を選ぶと、話がスムーズです。
なお、相続・離婚・金銭的な事情がからむ物件に対応した査定サービスもあります。
相続・離婚・金銭的な事情など、複雑な背景のある不動産に対応した一括査定サービスです。仲介・買取・リースバックの3方法をまとめて査定でき、必要に応じて弁護士への初回無料相談にもつないでもらえます。売却を検討する段階での、選択肢の比較に使えます。
対応エリアは東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬・大阪・兵庫の9都府県に限られます。それ以外の地域では利用できないため、該当しない場合は全国対応のサービスをご検討ください。なお、任意売却は債権者の同意など専門的な手続きを伴うため、まずは金融機関や専門家への相談を優先してください。
払えないときにやるべき、4つのステップ
ここまでの内容を、動く順番にまとめます。
滞納する前、または滞納した直後がいちばん選択肢が多い段階です。返済が苦しいと伝え、返済方法の変更が可能か相談します。黙って滞納を続けるのが最悪の対応です。
毎月の収支、ローン残高、他の借金、家の相場を書き出します。国土交通省の不動産情報ライブラリで、近隣の成約価格を確認できます。現状がわからないと、正しい判断はできません。
残したいなら返済方法の変更や個人再生、手放すなら任意売却や通常売却。それぞれ期限があります。判断に迷うなら、次のステップの専門家に相談してください。
住宅金融支援機構、法テラス、消費生活センター(188)、弁護士・司法書士。無料で相談できる窓口もあります。動くのが早いほど、打てる手は多く残っています。
一人で悩まず、正規の窓口に相談してください。借入先の金融機関、住宅金融支援機構、法テラス、消費生活センター(188)、弁護士・司法書士。早く相談するほど、打てる手は多いです。
住宅ローンが払えないことに関するよくある質問(FAQ)

- 住宅ローンは何か月滞納すると、家を失いますか?
-
金融機関によって異なりますが、目安はあります。 一般的には、滞納1〜2か月で督促、3か月ほどで催告書・「期限の利益喪失」の予告、滞納6回(約6か月)前後で期限の利益を失い、保証会社が代位弁済、その後に差押え・競売へと進みます。滞納開始から入札まで、おおむね10〜14か月が目安とされます。ただし月数は金融機関により前後するため、あくまで目安です。大切なのは月数を数えることではなく、滞納する前に相談することです。
- 滞納する前でも、相談していいのですか?
-
むしろ、滞納する前の相談がいちばん効果的です。 返済が苦しくなりそうだと感じた時点で、借入先の金融機関に相談してください。滞納が始まる前なら、返済方法の変更など、家を残せる選択肢が多く残っています。「相談したら催促が厳しくなるのでは」と黙って滞納を続けるのは、最も選択肢を狭める行動です。金融機関も、貸したお金が返らないより、条件を変えてでも返してもらうほうを望みます。
- 家を残したまま、返済を軽くする方法はありますか?
-
あります。 借入先の金融機関に相談し、返済方法の変更を申し込む方法です。住宅金融支援機構の場合、返済期間の延長(最長15年)や、失業中・収入が20%以上減少した方を対象とした元金据置(利息のみの支払い、最長3年)などのメニューがあります(申込先は返済中の金融機関)。また、他の借金もある場合は、個人再生の住宅ローン特則で家を残せる可能性もありますが、これは弁護士・司法書士に相談する領域です。
- 競売と任意売却は、何が違いますか?
-
大きく4点違います。 ①価格:競売は市場価格の6〜7割程度になりがちですが、任意売却は市場価格に近い金額で売れる可能性があります。②プライバシー:競売は物件情報が裁判所やインターネットで公開されますが、任意売却は通常の売却と同じ見え方で、近隣に知られにくいです。③引っ越し:任意売却は時期や費用を交渉できる余地がありますが、競売は強制的です。④残債:任意売却では、残った借金の分割返済を金融機関と協議できる場合があります。総じて、任意売却のほうが売主に有利な点が多いとされます。
- 任意売却をすれば、借金はなくなりますか?
-
なくなりません。 任意売却は、売却代金でローンを返しきれない場合でも、金融機関の同意を得て売る方法です。売却しても残った借金(残債)は残ります。ただし、競売より高く売れれば残債は小さくなりますし、残債は分割で返す方法を金融機関と協議できる場合があります。「任意売却すれば借金がゼロになる」という説明をする業者がいたら、警戒してください。借金そのものを整理したい場合は、弁護士・司法書士に相談する債務整理の領域になります。
- 任意売却をするのに、条件はありますか?
-
あります。最も重要なのは、債権者(金融機関・保証会社)の同意です。 任意売却では、売却時に抵当権を抹消してもらう必要があり、それには債権者の承諾が欠かせません。また、競売の開札日の前日までなど、時間的な制約もあります。つまり、任意売却には期限があり、滞納が進んで競売が近づくほど、間に合わなくなります。ここでも「早く動くこと」が決定的に重要です。
- 悪質な任意売却業者を見分けるには?
-
次のような業者は避けてください。 ①先に着手金・コンサルティング料を求める(費用は売却代金から精算されるのが基本です)。②引っ越し費用を過大に約束する(金額は債権者との交渉次第で、確約できるものではありません)。③関係する投資家に相場より安く売ろうとする(利益相反です)。④「借金がゼロになる」などうますぎる説明をする。切迫した状況につけ込む業者は実在します。契約を急かされても、その場でサインせず、正規の相談先にも相談してください。
- 信用情報(ブラックリスト)はどうなりますか?
-
まず、「ブラックリスト」という名簿は実在しません。 実際には、信用情報機関に事故情報(長期の延滞、保証会社による代位弁済など)が登録された状態を、俗にそう呼んでいます。たとえばCICでは、契約終了後5年以内、延滞などの情報を保有するとされています。ただし、機関(CIC・JICC・KSC)や事由によって登録項目・期間の扱いは異なります。正確な自分の状況は、各機関に情報開示を請求して確認してください。この間は、新たな借入やクレジットカードの利用が難しくなるのが一般的です。
- 病気や失業で払えなくなった場合も、制度はありますか?
-
あります。 前述の住宅金融支援機構の返済方法変更では、失業中の方や収入が20%以上減少した方を対象に、元金据置(利息のみの支払い、最長3年)などのメニューが用意されています。まずは借入先の金融機関に、事情を伝えて相談してください。また、団体信用生命保険(団信)に加入していれば、所定の高度障害やがんなどの状態に該当した場合に、ローンが弁済されることがあります。ご自身の団信の保障内容も確認しておきましょう。
- 住宅ローンが払えないとき、どこに相談すればいいですか?
-
一人で抱え込まず、正規の窓口に相談してください。 ①借入先の金融機関(返済方法の変更。滞納前の相談が最も有効)②住宅金融支援機構の返済相談(フラット35などの利用者)③法テラス(無料の法律相談、弁護士費用の立替。収入要件あり)④消費生活センター(消費者ホットライン188)⑤弁護士・司法書士(債務整理が必要な場合)。悪質な業者の広告に飛びつく前に、まずこうした公的・専門の窓口にあたってください。早く相談するほど、選択肢は多く残っています。
まとめ
住宅ローンが払えないとき、いちばん大切なのは早く動くことです。時間とともに、選べる道は減っていきます。
- 滞納する前・した直後に、借入先の金融機関へ相談する
- 家を残せる手段——返済方法の変更(返済期間の延長は最長15年など)、個人再生(専門家の領域)
- 手放すなら任意売却。競売より有利だが、借金はゼロにならず、債権者の同意と期限がある
- 悪質な任意売却業者に注意。先に費用を取る・急かす業者は避ける
- 信用情報は機関・事由で扱いが異なる。正確には各機関の開示で確認
- 一人で抱えず、金融機関・法テラス・消費生活センター(188)などに相談
最後に、ひとつだけ。住宅ローンが払えなくなるのは、けっして珍しいことでも、恥ずかしいことでもありません。病気や失業、収入減は、誰にでも起こり得ます。大切なのは、そのときに一人で抱え込まず、早く動けるかどうかだけです。
競売の現場で見てきたのは、「もっと早く相談していれば」という後悔でした。この記事が、その後悔を防ぐ一歩になればと思います。あわせて【住宅ローンで失敗する人の共通点5選】【仲介・買取・リースバックの違い】もご覧ください。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の手続き・サービス・事業者を推奨するものではありません。滞納から競売までの期間や月数、価格の目安は一般的な傾向であり、金融機関・保証会社・物件の状況によって異なります。実際の数値を保証するものではありません。
任意売却、債務整理(個人再生・自己破産)、残債の返済交渉、信用情報、税務などは、法的・専門的な判断を要する事項です。
個別の状況については、必ず借入先の金融機関、弁護士・司法書士・税理士等の専門家、または公的な相談窓口にご相談ください。本記事の情報にもとづく判断・行動について、当編集部は責任を負いかねます。

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