親が亡くなり、誰も住まない実家が残った。売ろうと思ったものの、何から手をつければいいのかわからない——これは、多くの人がつまずくところです。
実家の売却は、普通の家の売却と少し違います。相続の手続き、名義の変更、そして相続ならではの税金の特例が絡むからです。順番を間違えると、使えたはずの特例を逃して、数十万〜数百万円損することもあります。
この記事では、宅建士・FPの視点から、手順・税金・特例・期限を、公的機関の情報にもとづいて整理します。まず相場を知るなら、国土交通省の不動産情報ライブラリで近隣の成約価格を確認できます。
- 相続した実家を売るまでの手順(登記→査定→売却→申告)
- 2024年義務化された相続登記の期限と過料
- そもそも相続税がかかるか(基礎控除・小規模宅地)
- 売却でかかる税金と、譲渡所得の計算方法
- 空き家3000万円特別控除の要件と期限
- 取得費加算の特例と、その使いどころ
- 2つの特例のどちらを選ぶかの判断軸
- 兄弟で共有した実家を、もめずに売る方法
相続した実家の売却|まず全体像をつかむ

細かい話に入る前に、全体像を押さえましょう。ここがわかると、迷いません。
実家の売却は、大きく3つの段階で進みます。
- 相続登記:親名義の実家を、相続人の名義に変える
- 売却:査定 → 媒介契約 → 売買 → 引き渡し
- 確定申告:売った翌年に、税金を申告し、特例を適用する
普通の売却と違うのは、①の相続登記が必須なことと、③で相続ならではの特例が使えることです。
カギは「税金」と「2つの特例」
実家を売って利益が出ると、税金がかかります。でも、相続には強力な特例が2つあります。
| 特例 | 内容 |
|---|---|
| 空き家の3000万円特別控除 | 譲渡所得から最高3000万円を引ける |
| 取得費加算の特例 | 納めた相続税の一部を取得費に加算できる |
このどちらかをうまく使えれば、税金がゼロになることもあります。ただし、両方は使えず、期限もある。だから、早めの判断が損を防ぎます。
結論:相続した実家の売却は、「相続登記→売却→確定申告」の順で進みます。カギは税金と、2つの特例(空き家3000万円控除・取得費加算)。どちらも期限があり、選択制なので、早めの判断が損を防ぎます。
売却までの手順を、順番に

では、実際の流れです。この順番で進めれば間違いません。
実家を誰の名義にするか、相続人全員で話し合って決めます。売却して代金を分ける(換価分割)なら、その旨も協議書に明記します。
親名義のままでは売れません。法務局で相続登記をして、売る人の名義にします。2024年4月から3年以内の登記が義務です。
国土交通省の不動産情報ライブラリで近隣の成約価格を確認し、複数の不動産会社に査定を依頼します。相場観がないと高い安いを判断できません。
信頼できる会社と媒介契約を結び、売り出します。空き家特例を使うなら、取り壊しや耐震のタイミングも会社と相談しておきます。
買主と契約し、引き渡します。売却の翌年に確定申告をして、特例を適用します。期限内の売却と申告が、節税の条件です。
換価分割という選択肢
補足しておきます。「実家を売って、その代金を兄弟で分ける」場合、換価分割という方法があります。
代表者が相続登記をして売却し、得られた代金を持分に応じて分けるやり方です。遺産分割協議書に「換価分割する」と明記しておくと、後の税務でトラブルになりにくくなります。詳しくは【仲介・買取・リースバックの違い】や【いえカツLIFEの評判は?】もあわせてご覧ください。
相続登記|名義を変えないと売れない

ここが、実家売却の最初の関門です。そして、2024年から重要な変更がありました。
親名義のままでは、絶対に売れない
まず大原則です。不動産は、売る人の名義になっていないと売れません。
親名義の実家を売るには、相続登記をして、相続人の名義に変える必要があります。これを飛ばして売買を進めることはできません。
2024年4月から、相続登記は「義務」になった
さらに、2024年(令和6年)4月1日から、相続登記が義務化されました。法務省の相続登記の申請義務化特設ページに明記されています。
ポイントは3つです。
- 不動産の取得を知った日から、3年以内に相続登記を申請する義務
- 正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象
- 施行前に発生した相続も対象で、その場合は令和9年(2027年)3月31日まで
つまり、「昔相続したまま名義を放置している実家」も、2027年3月末までに登記しないといけないということです。
費用と必要書類
相続登記には、登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)がかかります。評価額2000万円なら8万円です。
必要書類は、被相続人の出生から死亡までの戸籍、相続人の戸籍、遺産分割協議書、固定資産評価証明書など。自分でもできますが、書類集めが煩雑なため、司法書士に依頼する人が多いです。
2024年4月から相続登記は義務です。取得を知ってから3年以内に登記しないと、10万円以下の過料の対象。そもそも名義を変えないと売れません。まず登記から始めてください。
その前に|そもそも相続税はかかるのか

売却の税金の前に、多くの人が最初に不安に思うのが相続税です。ここを整理しておきます。
相続税には「基礎控除」がある
まず知ってほしいのは、相続税は、すべての人にかかるわけではないということです。相続した財産の合計が、次の基礎控除を超えたぶんにだけかかります。
基礎控除 = 3000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
たとえば、相続人が子2人なら、基礎控除は「3000万円+600万円×2=4200万円」。実家を含めた遺産の合計がこれ以下なら、相続税はかかりません。
実際、相続税が発生するのは全体の1割ほどとされています。「実家を相続したら必ず相続税がかかる」と思い込む必要はありません。
実家の土地は「小規模宅地の特例」で大きく下がることがある
さらに、被相続人が住んでいた土地には、小規模宅地等の特例があります。一定の要件を満たすと、330㎡までの評価額が最大80%減額されます。
これを使えば、実家の土地の相続税評価が大きく下がり、基礎控除の範囲に収まることも少なくありません。
ただし、この特例には「誰が相続するか」などの細かい要件があり、しかも売却のタイミングと絡むことがあります。相続税の申告が必要かどうかは、早めに税理士に確認しておくと安心です。
売却でかかる税金の全体像

相続税の次は、売却時の税金です。売って利益が出たときにかかるものが中心です。
譲渡所得=儲けに、税金がかかる
売却でかかる主な税金は、譲渡所得税・住民税です。これは、売って利益(譲渡所得)が出たときだけかかります。
譲渡所得は、こう計算します。
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)
- 取得費:親がその家を買ったときの購入代金(建物は減価償却後)+登記費用など
- 譲渡費用:仲介手数料、印紙税、取り壊し費用など
この譲渡所得がプラスなら課税、ゼロやマイナスなら、譲渡所得税はかかりません。
そのほかにかかる税金
譲渡所得税以外にも、いくつかあります。
| 税金 | 内容 |
|---|---|
| 印紙税 | 売買契約書に貼る(売却価格による) |
| 登録免許税 | 相続登記のとき(評価額×0.4%) |
| 消費税 | 個人が自宅を売る場合は非課税 |
金額の大きさで言えば、譲渡所得税がいちばん重要です。だからこそ、次に説明する特例が効いてきます。
譲渡所得税の税率と「取得日の引き継ぎ」

税額を左右するのが、税率です。そして相続には、知らないと損する仕組みがあります。
長期か短期かで、税率が倍近く違う
譲渡所得税の税率は、所有期間で変わります。
| 区分 | 所有期間 | 税率(合計) |
|---|---|---|
| 長期譲渡 | 5年超 | 約20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税) |
| 短期譲渡 | 5年以下 | 約39.63%(所得税30%+住民税9%+復興特別所得税) |
長期と短期で、税率が倍近く違います。5年を境に、大きく変わるということです。
相続では「親の取得日」を引き継ぐ
ここが重要です。「親から相続したばかりだから、所有期間は短い」と思うかもしれません。でも、違います。
相続した不動産は、親(被相続人)が買った日と取得費を、そのまま引き継ぎます(国税庁 No.3211)。
つまり、親が30年前に買った実家なら、あなたの所有期間も30年超として扱われ、長期譲渡(約20.315%)になります。相続してすぐ売っても、短期の高い税率にはなりません。これは有利な仕組みです。
取得費がわからないと、大きく損する
一方で、注意すべき落とし穴があります。取得費がわからない場合です。
親がその家をいくらで買ったかわからないと、売却代金の5%を「概算取得費」として使うことになります。
3000万円で売れた実家の取得費が150万円(5%)とされると、譲渡所得が2850万円にふくらみ、税額が跳ね上がります。
- まず、親が家を買ったときの売買契約書・領収書を探す
- 見つかれば、その金額を取得費にできる(節税に直結)
- 相続では親の取得費を引き継げるので、当時の資料が宝になる
「古い書類だから」と捨てずに、実家の権利証や契約書一式は必ず確認してください。
空き家の3000万円特別控除を、徹底解説

ここからが、相続した実家の売却でいちばん大きい特例です。うまく使えば、税金がゼロになることもあります。
どういう特例か
被相続人(親)が住んでいた家を相続して売ったとき、譲渡所得から最高3000万円を控除できる特例です(国税庁 No.3306)。
譲渡所得が3000万円以下なら、この控除だけで税額がゼロになる計算です。
要件が厳しいので、1つずつ確認する
ただし、要件が細かく、すべて満たす必要があります。
- 昭和56年5月31日以前に建築された家屋である
- 区分所有建物(マンション)ではない
- 相続開始の直前に、被相続人が一人で住んでいた(老人ホーム入所などの例外あり)
- 相続してから売るまで、事業・貸付・居住に使っていない
- 売却代金が1億円以下
- 耐震基準に適合させるか、家屋を取り壊してから売る
とくに最後の「耐震か取り壊し」が実務上のポイントです。古い実家をそのまま売るのではなく、耐震リフォームするか、更地にして売る必要があります。
なお、令和6年からは、買主が引き渡しの翌年2月15日までに耐震・取り壊しをする「買主実施型」も対象になりました。
期限に注意
この特例には、2つの期限があります。
- 相続開始日から、3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る
- かつ、令和9年(2027年)12月31日までの譲渡
どちらも過ぎると使えません。相続したら、まず売却の期限をカレンダーに書き込んでおきましょう。
空き家の3000万円特別控除は、うまく使えば税金がゼロになることも。ただし要件が厳しく、昭和56年5月31日以前の建物・被相続人が一人で居住・耐震か取り壊し・売却1億円以下。令和9年末までの期限つきです。
相続人が3人以上だと、控除額が減る
もう1つ、2024年からの変更です。相続人が3人以上のとき、控除額が1人3000万円から2000万円に減額されました(令和6年1月1日以後の譲渡)。
| 取得した相続人の数 | 1人あたりの控除額 |
|---|---|
| 1〜2人 | 最高3000万円 |
| 3人以上 | 最高2000万円 |
兄弟の人数によって使える額が変わるので、共有で相続する場合は、この点を踏まえて考える必要があります。
もう1つの特例|取得費加算

空き家の控除が使えないときや、譲渡益が大きいときに検討するのが、取得費加算の特例です。
納めた相続税を、取得費に上乗せできる
相続税を納めた人が、相続財産を一定期間内に売ったとき、その相続税の一部を取得費に加算できる特例です(国税庁 No.3267)。
取得費が増えれば、譲渡所得が減り、税金が安くなります。
ただし、相続税を納めていない人は使えません。相続税は、基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超える遺産にだけかかるので、そもそも相続税がゼロだった場合は対象外です。
期限は約3年10か月
こちらの期限は、相続開始の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで。相続税の申告期限が「相続開始から10か月」なので、実質、相続開始から約3年10か月以内の売却が条件です。
空き家特例の期限(3年目の年末)とは数え方が違うので、混同しないよう注意してください。
どちらの特例を選ぶ?判断の軸

ここが、この記事でいちばん大事なところです。
2つは「両方使えない」
まず、空き家の3000万円控除と取得費加算は、両方は使えません。どちらか一方を選ぶ(選択適用)ことになります。
そして、どちらが得かはケースで変わります。
選び方のめやす
大まかな判断軸は、こうです。
- 譲渡益が3000万円以下に収まる → 空き家特例で税額ゼロにできることが多く有利
- 譲渡益が大きく、相続税も多く納めている → 取得費加算が有利になるケースもある
- 相続税を納めていない → 取得費加算は使えないので、空き家特例一択
判断を誤ると、数十万〜数百万円の差が出ます。しかも、それぞれ要件や期限が絡み合います。
だからここは、自己判断せず、税理士に両方のパターンで試算してもらうのが確実です。売却前に相談すれば、どちらの特例に合わせて売るかという戦略も立てられます。
空き家3000万円控除と取得費加算は、両方は使えません(選択制)。どちらが得かは、譲渡益の大きさと、納めた相続税額で変わります。自己判断せず、税理士に試算してもらうのが確実です。
兄弟で共有した実家を、もめずに売る

実家の相続で多いのが、兄弟の共有です。ここには、独特の注意点があります。
売るには「全員の同意」が必要
大前提として、共有名義の不動産は、共有者全員の同意がないと売れません。一人でも反対すれば、実家そのものを売ることはできません。
「自分の持分だけ売る」ことは法律上できますが、持分だけの売却は価格が大幅に下がるため、現実的ではありません。詳しくは【いえカツLIFEの評判は?】でも触れています。
売り出す前に決めておくこと
だからこそ、動き出す前の話し合いが肝心です。
- 誰が窓口(代表者)になるか
- いくら以上なら売るか(下限価格)
- 代金をどう分けるか(持分に応じて)
- 売却にかかる費用を、どう負担するか
ここを曖昧にしたまま売り出すと、買主が現れてから兄弟でもめるという最悪の事態になりかねません。
控除は「各人」が使える
税金面では、共有はむしろ有利な面もあります。空き家の3000万円特別控除は、共有者それぞれが使えるからです。
相続人が2人なら各人が最高3000万円(合計6000万円)、3人以上なら各人2000万円。人数が控除額に影響するので、相続登記の段階で、共有にするか単独にするかを決めておくことも大切です。
兄弟で共有した実家は、売るのに全員の同意が必要です。控除は各人が使えます(相続人3人以上なら1人2000万円)。誰が窓口になるか、代金をどう分けるかを、売り出す前に決めておきましょう。
急いで売りたい・売れない実家の選択肢

最後に、現実的な悩みに答えます。
期限が迫っている・遠方で管理できない
「相続税の納付期限(相続開始から10か月)が迫っている」「実家が遠方で管理できない」——こうした事情があるなら、買取が選択肢になります。
不動産会社が直接買うので、数日〜数週間で現金化できます。ただし価格は相場の7〜9割程度。スピードと確実性を、価格と引き換えにする方法です。
相続特有の事情には、対応できるサービスを
相続した実家は、共有・空き家・遠方・老朽化など、事情が複雑になりがちです。
一般的な一括査定では扱いにくい物件もあるため、相続や共有に対応した査定サービスを使うと、話が早いことがあります。まずは複数社に査定を依頼し、仲介で高く売る道と、買取で早く売る道の両方を比べてください。
「相続する前に売る」という選択肢もある
これは相続後の話ではありませんが、知っておくと役立ちます。親が元気なうちに、親自身が家を売るという方法です。
親が売れば、親が長く住んでいた家なので、マイホームを売ったときの3000万円特別控除(国税庁 No.3302)が使えます。これは相続後に使う空き家特例とは別の制度で、耐震や取り壊しの要件がありません。
一方で、売った代金は現金として残るため、相続税の計算では不動産より現金のほうが評価が高くなり、相続税が増える可能性もあります。また、親の住まいをどうするかという問題も生じます。
つまり、相続の前に売るか、後に売るかで、使える特例も税額も変わります。親の年齢や健康、家族の状況によって最適解は異なるため、早い段階で家族と税理士に相談しておくと、選択肢が広がります。
相続・離婚・共有持分など、事情が複雑な不動産に対応した一括査定サービスです。仲介・買取・リースバックの3方法をまとめて査定でき、査定額とあわせて売却適正期間も比較できます。必要に応じて弁護士への初回無料相談にもつないでもらえます。
対応エリアは東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬・大阪・兵庫の9都府県に限られます。それ以外の地域では利用できないため、該当しない場合は全国対応のサービスをご検討ください。
相続した実家の売却に関するよくある質問(FAQ)

- 親名義のままで、実家は売れますか?
-
売れません。 不動産を売るには、売る人の名義になっている必要があります。相続した実家は、まず相続登記(名義変更)をして、相続人の名義にしてから売却します。さらに2024年4月から相続登記は義務化され、取得を知った日から3年以内の登記が求められています。名義変更をしないと売れないうえ、放置すると過料の対象にもなります。売却を考えたら、最初に相続登記を済ませてください。
- 相続した実家を売ると、税金はいくらかかりますか?
-
売却して利益(譲渡所得)が出た場合に、譲渡所得税・住民税がかかります。 税率は、所有期間が5年超の長期なら合計約20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税)。相続した不動産は、親(被相続人)の取得日を引き継ぐため、多くの場合は長期になります。ただし、後述の空き家3000万円特別控除などの特例が使えれば、税額が大きく下がる、あるいはゼロになることもあります。まずは利益が出るかどうかを、取得費と売却価格から確認してください。
- 空き家の3000万円特別控除とは何ですか?
-
被相続人が住んでいた家(実家)を相続して売ったとき、譲渡所得から最高3000万円を控除できる特例です(国税庁 No.3306)。主な要件は、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、区分所有建物でないこと、相続開始の直前に被相続人が一人で住んでいたこと(老人ホーム入所などの例外あり)、売却代金が1億円以下であること、そして耐震基準に適合させるか、家屋を取り壊してから売ることです。適用期限は令和9年(2027年)12月31日までの譲渡です。
- 相続人が3人いると、空き家控除はいくらになりますか?
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1人あたり2000万円です。 令和6年(2024年)1月1日以後の譲渡で、その家屋・敷地を取得した相続人が3人以上のときは、1人あたりの控除額が3000万円から2000万円に減額されました。相続人が2人までなら、各人が最高3000万円を控除できます。兄弟の人数によって使える控除額が変わるため、共有で相続する場合はこの点を踏まえて考える必要があります。
- 取得費加算の特例とは何ですか?
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相続で取得した財産を一定期間内に売ったとき、支払った相続税の一部を取得費に加算できる特例です(国税庁 No.3267)。取得費が増えれば譲渡所得が減り、税金が安くなります。期限は、相続開始の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで(相続開始から実質約3年10か月以内)。相続税を納めた人が対象で、相続税がかからなかった場合は使えません。確定申告で、計算明細書を添付して適用します。
- 空き家3000万円控除と取得費加算は、両方使えますか?
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両方は使えません。どちらか一方を選びます(選択適用)。 どちらが得かは、譲渡益の大きさと、納めた相続税額で変わります。譲渡益が3000万円以下に収まるなら、空き家特例で税額ゼロにできることが多く有利です。一方、譲渡益が大きく、かつ相続税を多く納めているなら、取得費加算のほうが有利になるケースもあります。判断を誤ると数十万〜数百万円の差が出るため、税理士に両方で試算してもらうのが確実です。
- 実家の売却に、期限はありますか?
-
特例ごとに期限があり、これが最重要です。 空き家3000万円控除は、相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る必要があります(かつ令和9年末までの譲渡)。取得費加算は、相続開始から約3年10か月以内の譲渡が条件です。どちらも、うっかり過ぎると特例が使えず、税負担が大きく変わります。相続したら、まず売却の期限をカレンダーに書き込んでおくことをおすすめします。
- 実家の取得費がわからないときは、どうなりますか?
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取得費が不明な場合、売却代金の5%を概算取得費として使えます。 ただし、これは多くの場合に不利です。たとえば3000万円で売れた実家の取得費を5%(150万円)とすると、譲渡所得が2850万円にふくらみ、税額が大きくなります。親が家を買ったときの売買契約書や領収書が残っていないか、まず探してください。相続の場合、親の取得費と取得日をそのまま引き継げるため、当時の資料が節税に直結します。
- 兄弟で共有した実家を売るには、どうすればいいですか?
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共有者全員の同意が必要です。 一人でも反対すると、実家そのものを売ることはできません(自分の持分だけの売却は可能ですが、価格が大幅に下がります)。実務では、代表者を決めて売却を進め、代金を持分に応じて分けるのが一般的です。売り出す前に、誰が窓口になるか、いくら以上なら売るか、代金をどう分けるかを全員で合意しておくと、後のトラブルを防げます。相続登記の段階で、共有か単独かを決めておくことも重要です。
- 相続登記をしないと、どうなりますか?
-
2024年4月1日から相続登記は義務化され、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。 期限は、不動産の取得を知った日から3年以内。施行前に発生した相続も対象で、その場合は令和9年(2027年)3月31日までに登記する必要があります。過料以前に、登記をしないと売却そのものができません。相続した実家を売るなら、相続登記は避けて通れない最初のステップです。
- 急いで売りたい、または売れない実家はどうすればいいですか?
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買取や、事情に強い一括査定を検討してください。 相続税の納付期限(相続開始から10か月)が迫っている、遠方で管理できない、といった事情があるなら、不動産会社が直接買う「買取」なら数日〜数週間で現金化できます(ただし相場の7〜9割程度)。また、相続・共有・空き家といった複雑な事情に対応した一括査定サービスもあります。まずは複数社に査定を依頼し、仲介で高く売る道と、買取で早く売る道の両方を比べて決めるのが安全です。
まとめ
相続した実家の売却は、手続き・税金・特例・期限が一度に絡む、少し複雑な取引です。でも、順番を守れば大丈夫です。
- 相続登記が最初の関門。2024年から義務化(3年以内、10万円以下の過料)。名義を変えないと売れない
- 売却益には譲渡所得税(長期なら約20.315%)。相続では親の取得日・取得費を引き継ぐ
- 空き家の3000万円特別控除(要件は厳しいが効果大/相続人3人以上は2000万円/令和9年末まで)
- 取得費加算の特例(相続税を納めた人/約3年10か月以内)
- 2つの特例は選択制。どちらが得かは税理士に試算してもらう
- 兄弟の共有は全員の同意が必要。売り出す前に条件を決めておく
いちばん大事なのは、特例の期限内に、税理士と相談しながら動くこと。相続したら、まず相続登記と、売却期限の確認から始めてください。あわせて【不動産売却の流れ】【仲介・買取・リースバックの違い】もご覧ください。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の税務判断・不動産取引・サービスを推奨するものではありません。税率・控除額・特例の要件・期限は、執筆時点の情報にもとづくものであり、法改正等により変更される場合があります。
税金の特例の適用可否や有利・不利の判断は、個別の事情によって大きく異なります。実際の税額計算や特例の選択にあたっては、必ず国税庁の最新情報を確認のうえ、税理士・税務署にご相談ください。
相続登記や共有物件の売却については、司法書士・弁護士等の専門家にご相談ください。

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