「そろそろマイホームがほしい」と思ったとき、多くの人がまず物件情報を見始めます。でも、実はそれより先にやっておくべき、大切なことがあります。それが家計の準備です。
家選びで後悔する人の多くは、物件そのものより「お金の準備不足」でつまずいています。予算をあいまいなまま物件に一目ぼれして借りすぎたり、貯金を頭金に使い切って手元がスカスカになったり——。逆に言えば、家計をきちんと整えてから動けば、後悔の大半は防げます。
この記事では、宅建FP編集部が、家を買う前にやるべき家計の準備を、チェックリスト形式でわかりやすく解説します。準備で9割が決まる——そのくらい、この段階が重要です。家計やライフプランの考え方は、金融広報中央委員会の知るぽるとなどの公的情報も参考になります。
- 家を買う前に把握すべき家計の現状
- 予算(借入額)の正しい決め方
- 頭金と手元資金のちょうどいいバランス
- 購入時の諸費用と、買った後の維持費
- 後悔しないための家計チェックリスト
家を買う前に、まず「家計の現状」を把握しよう

家計の準備は、今の家計がどうなっているかを知ることから始まります。ここがあいまいだと、いくらまで家にお金をかけていいのか判断できません。
まず、次の4つを書き出してみましょう。紙でも家計簿アプリでも構いません。大切なのは「見える化」することです。
- 収入:世帯の手取り月収・年収(額面ではなく手取り)
- 支出:毎月の生活費(食費・光熱費・通信費・保険・教育費など)
- 貯蓄:今いくら貯金があるか、毎月いくら貯められているか
- 借入:車のローン・カードローン・奨学金など、他の返済
とくに大事なのが手取りと毎月の貯蓄額です。手取りは、額面から税金や社会保険料を引いた、実際に使えるお金。額面年収500万円でも、手取りは約400万円と、2割ほど少なくなります。生活で使えるのは手取りなので、住宅ローンも、この手取りをベースに考えます。
そして、毎月コンスタントに貯蓄できている額は、「家賃が住宅ローンに変わっても、どのくらい返済に回せるか」の重要なヒントになります。あわせて、この機会に支出の見直しもしておくと効果的です。
使っていないサブスク、割高な通信費、見直していない保険など、固定費には削れる余地が隠れていることが多いもの。ここを整理しておくと、住宅ローンの返済に回せる余力が増え、無理のない範囲が広がります。
家計の把握は、単なる現状確認ではなく、「家計を整える」第一歩でもあるのです。
たとえば、今の家賃が10万円で、それに加えて毎月3万円貯蓄できているなら、住居費として月13万円までは家計が回っている、という見方ができます。ただし、家を買うと維持費もかかるので、そのまま13万円を返済に充てられるわけではありません。この点は、後の章で詳しく見ていきます。
家計の把握は、1〜2か月分だけでなく、できれば半年〜1年分の平均で見るとより正確です。月によって出費には波があり、たまたま出費の少ない月だけを見ると、「もっと返せそう」と過大に見積もってしまうことがあります。
ボーナス月や、税金・車の保険・帰省費用などがかかる月も含めて、年間を通した平均で家計をつかむと、無理のない予算が見えてきます。まずは、自分の家計の「今」を正確につかむことが、すべての準備の土台になります。
予算は「借りられる額」ではなく「返せる額」で決める

家計を把握したら、次は予算(いくらまで借りるか)を決めます。ここで、いちばん大切な考え方をお伝えします。それは、「借りられる額」ではなく「返せる額」で決めるということです。
銀行の審査に通る借入額と、あなたが安心して返せる額は、別ものです。銀行が見ているのは「回収できるか(貸し倒れないか)」であって、あなたの暮らしにゆとりがあるかまでは見ていません。審査に通った額まで借りると、生活はかなり苦しくなりがちです。
返済負担率を目安にする
無理のない予算の目安になるのが、返済負担率です。これは、年収に対して年間の返済額がどれくらいの割合かを示す数字です。
- 銀行の審査基準:返済負担率30〜35%程度まで
- 無理のない目安:手取りの20〜25%以内
たとえば手取り年収400万円なら、年間の返済は80万〜100万円(毎月6.7万〜8.3万円)までが安心の目安です。この範囲に収めておくと、教育費や急な出費があっても、家計に余裕を保ちやすくなります。
年収別に、無理のない毎月の返済額と借入額の目安を整理すると、次のようになります(額面年収基準・返済負担率25%・金利1.5%・35年でのおおよその目安です)。
| 額面年収 | 無理のない毎月返済額 | 借入額の目安 |
|---|---|---|
| 400万円 | 約8.3万円 | 約2,700万円 |
| 500万円 | 約10.4万円 | 約3,400万円 |
| 600万円 | 約12.5万円 | 約4,080万円 |
| 700万円 | 約14.6万円 | 約4,760万円 |
この表はあくまで目安です。 同じ年収でも、家族構成・教育費・他の借入によって「無理のない額」は変わります。とくに、手取りで考えると、この額よりもう少し控えめにするとより安心です。数字を鵜呑みにせず、自分の家計に当てはめて考えることが大切です。
「毎月返せる額」から借入額を逆算する
予算を決めるときは、順番が大切です。多くの人は「①ほしい物件を決める→②いくら借りられるか」で進めますが、これだと借りすぎやすくなります。「①毎月無理なく返せる額を決める→②そこから借入額を逆算する→③その範囲で物件を探す」という順番にすると、予算オーバーを防げます。
順番を逆にするだけで、行動が大きく変わります。先に物件を見てしまうと、素敵な家に心を奪われ、「少しくらい予算オーバーでも」と気持ちが動いてしまうもの。でも、先に「わが家の予算はここまで」と決めておけば、その範囲で冷静に物件を選べます。予算を決めてから物件を探すのは、少し遠回りに感じるかもしれませんが、これが借りすぎを防ぎ、後悔しないための最も確実な方法です。
家の予算は、銀行が「貸してくれる額」ではなく、あなたが「無理なく返せる額」で決めるのが鉄則です。目安は返済負担率が手取りの20〜25%以内。ここを超えると、教育費や急な出費で家計が一気に苦しくなります。
頭金と手元資金のバランス|貯金を使い切らない

予算が決まったら、次は頭金の話です。「頭金は多いほどいい」と思われがちですが、注意が必要です。
たしかに、頭金を多く入れれば借入額が減り、毎月の返済も総返済額も軽くなります。でも、だからといって貯金を全部頭金に回して、手元をゼロにするのは非常に危険です。
生活防衛資金は必ず残す
家を買った後も、生活は続きます。病気やケガ、失業、家電の故障、冠婚葬祭など、急な出費はいつやってくるかわかりません。こうしたときに備えるお金が生活防衛資金です。目安は、生活費の半年〜1年分。手取りが少ない人や収入が不安定な人ほど、多めに確保しておくと安心です。
なぜこれだけ必要かというと、万一収入が止まっても、その間の生活と住宅ローンの返済を続けなければならないからです。たとえば毎月の生活費(住宅ローン含む)が25万円なら、半年分で150万円、1年分で300万円。
会社員なら半年分、自営業や収入が変動しやすい人なら1年分を目安にするとよいでしょう。この生活防衛資金があれば、一時的に収入が減っても、あわてて家を手放したり、高金利の借金に頼ったりせずに済みます。
頭金を増やすことより、まずこの備えを確保することを優先してください。
頭金は、この生活防衛資金を手元に残したうえで、残りの余裕資金の範囲で入れるのが鉄則です。「頭金を増やして返済を軽くする」ことと、「手元資金を残して万一に備える」ことの、ちょうどいいバランスを見つけましょう。
頭金の効果を数字で見る
頭金が返済にどれだけ効くのか、具体的に見てみましょう。3,000万円の物件を、金利1.5%・35年で買った場合の目安です。
| 頭金 | 借入額 | 毎月返済額 | 総返済額の目安 |
|---|---|---|---|
| 0円 | 3,000万円 | 約91,900円 | 約3,858万円 |
| 300万円 | 2,700万円 | 約82,700円 | 約3,472万円 |
| 600万円 | 2,400万円 | 約73,500円 | 約3,086万円 |
頭金600万円を入れると、頭金なしに比べて毎月約1.8万円、総返済額では約770万円も軽くなります。頭金は「利息を先に減らす」効果があるので、入れられるなら返済がかなり楽になります。ただし繰り返しになりますが、手元資金を削ってまで頭金を増やすのは本末転倒。生活防衛資金を残せる範囲で、というのが大前提です。
頭金なしという選択もある
なお、頭金がどうしても用意できない場合でも、家を買えないわけではありません。頭金なし(フルローン)でも、借入額を「返せる額」に抑えられれば、問題ないケースは多くあります。大切なのは頭金の有無そのものより、借入額が無理のない範囲に収まっているか、手元資金を残せているかです。
貯金を全部頭金に回して、手元をゼロにするのは危険です。病気・失業・急な出費に備える生活防衛資金(生活費の半年〜1年分)は必ず手元に残すこと。頭金は、その残ったお金の範囲で無理なく入れましょう。
物件価格だけじゃない|購入時の諸費用

家を買うとき、意外と見落とされがちなのが諸費用です。「物件価格=必要なお金」だと思っていると、あとで資金が足りなくなります。
諸費用は、物件の種類や条件にもよりますが、物件価格の5〜9%程度が目安です。主な内訳を見てみましょう。
| 費用 | 内容 |
|---|---|
| 登記費用 | 所有権の登記、抵当権の設定など |
| ローンの事務手数料・保証料 | 借入額に応じてかかる |
| 火災保険料・地震保険料 | 契約時にまとめて払うことも |
| 不動産取得税・印紙税 | 購入・契約にかかる税金 |
| 仲介手数料 | 中古物件などで不動産会社に払う |
たとえば3,000万円の物件なら、諸費用だけで150万〜270万円ほどかかる計算です。決して小さい金額ではありません。
なお、諸費用は新築か中古かでも変わります。中古物件は、不動産会社への仲介手数料がかかることが多く、その分諸費用が高めになる傾向があります(仲介手数料は「物件価格の3%+6万円+消費税」が上限の目安)。
一方、新築の建売や分譲マンションは、売主から直接買う場合、仲介手数料がかからないこともあります。同じ物件価格でも、諸費用の総額は数十万円変わることがあるので、物件を比べるときは「価格+諸費用」の総額で見比べましょう。
この諸費用は、住宅ローンに含めて借りることもできますが、借入が増える分だけ返済も重くなります。できれば諸費用の分は自己資金で用意しておくと、返済の負担を抑えられ、家計にゆとりが生まれます。
買った後もかかるお金|維持費を見込む

家は、買って終わりではありません。買った後も、住宅ローンとは別にお金がかかり続けます。 ここを見込んでおかないと、購入後に「思ったより家計が苦しい」となりがちです。
| 維持費 | 発生タイミング | 目安 |
|---|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 毎年 | 立地・広さで変動 |
| 火災保険・地震保険 | 契約時・更新時 | 補償内容で変動 |
| 修繕費(戸建て) | 随時 | 外壁・屋根・設備の更新に備える |
| 管理費・修繕積立金(マンション) | 毎月 | 数千円〜数万円 |
戸建てとマンションでは、維持費のかかり方が違います。ざっくり比べると、次のようなイメージです。
| 戸建て | マンション | |
|---|---|---|
| 毎月の固定費 | 基本的になし | 管理費・修繕積立金(数千円〜数万円) |
| 大きな修繕 | 自分でまとめて負担 | 積立金から計画的に |
| 特徴 | 費用の時期を自分で読みにくい | 毎月の固定費が読める |
戸建ての場合、毎月の固定費はかかりませんが、その代わり10〜15年ごとに外壁や屋根の塗り替え、給湯器などの設備更新で、100万円単位のまとまった費用がかかります。「毎月かからないから安い」のではなく、自分で計画的に修繕費を積み立てておく必要があるのです。
一方、マンションの場合は、毎月の管理費・修繕積立金が住宅ローンに上乗せされる形になります。こちらは費用が読みやすい反面、修繕積立金は年数が経つと値上がりすることが多く、購入時の金額がずっと続くわけではない点に注意が必要です。どちらを選ぶにせよ、こうした維持費まで含めて「毎月・毎年いくらかかるか」を把握しておきましょう。
目安として、こうした維持費は年間で数十万円になることも珍しくありません。固定資産税だけでも年10万〜20万円程度、火災保険や修繕への積立を月ならしすると、さらに上乗せされます。ざっくりですが、毎月の住宅ローン返済に、月1〜3万円程度の維持費が上乗せされるとイメージしておくと、大きく外しません。
「毎月の住宅ローン返済=住居費」と考えていると、こうした維持費を見落とします。返済額に維持費を足した金額が、実際の毎月の住居費だと考えて、家計に無理がないかを確認しましょう。賃貸のときの家賃と単純に比べるのではなく、この「維持費込みの住居費」で比較することが、購入後のギャップを防ぐコツです。
家は買って終わりではありません。固定資産税・火災保険・修繕費(マンションなら管理費・修繕積立金)が、住宅ローンとは別にかかり続けます。「毎月の返済=住居費」と考えていると、購入後に家計が想定より苦しくなります。
将来の出費も家計に織り込む|ライフプラン

家計の準備で忘れてはいけないのが、将来の大きな出費です。住宅ローンは20〜35年という長い付き合いになります。その間には、いくつもの大きなお金のイベントがやってきます。
- 教育費:子どもの進学、とくに高校・大学は家計の大きな山
- 車の買い替え:数年〜十数年ごとにまとまった出費
- 親の介護:時期も金額も読みにくいが、備えは必要
- 自分たちの老後資金:現役のうちに準備しておきたい
とくに注意したいのが、教育費のピークと住宅ローン返済が重なる時期です。教育費は、子ども1人あたり、進路によっては1,000万円以上かかるといわれます。とくに高校・大学の時期は出費が集中し、私立や下宿となればさらに膨らみます。
今は問題なく返せていても、子どもが大学に進学する頃に住宅ローンの返済も続いていると、一気に家計が苦しくなることがあります。これは、住宅ローンで後悔する典型的なパターンのひとつです。
たとえば、30代前半で家を買い、35年ローンを組んだとします。子どもが生まれたのが購入前後だとすると、子どもの大学進学は、ちょうど返済開始から18年前後。まだ返済のなかばで、残債もたっぷり残っている時期です。
ここに年間100万円を超える教育費が乗ってくると、貯蓄を取り崩す生活になりかねません。だからこそ、購入前に「教育費のピークがいつ来て、そのとき返済はどうなっているか」を確認しておくことが大切なのです。
対策としては、将来のライフイベントを時間軸で並べて、「いつ、いくらくらいの出費があるか」「そのとき住宅ローンの返済はどうなっているか」を確認しておくこと。少し先まで見通しておくだけで、無理のない予算が見えてきます。家は「今の家計」だけでなく「これからの家計」で判断する——これが、後悔しないための大切な視点です。
親からの資金援助と贈与税の注意

頭金を用意するとき、親や祖父母から資金援助を受けられる人もいるでしょう。これは大きな助けになりますが、贈与税には注意が必要です。
通常、まとまったお金をもらうと贈与税がかかることがあります。ただし、住宅を取得するための資金については、「住宅取得等資金の贈与の非課税特例」が設けられていることがあり、一定の金額まで贈与税がかからずに援助を受けられる場合があります。
ただし、注意点もあります。
- 非課税の枠や要件は、年によって変わる
- 住宅の性能や契約時期などの条件がある
- 非課税でも、申告などの手続きが必要
「非課税だから」と思い込んで手続きを忘れると、あとで課税されることもあります。資金援助を受ける場合は、最新の条件と手続きを、国税庁などの公式情報で必ず確認しましょう。判断に迷う場合は、税理士などの専門家に相談すると安心です。
もう一つ気をつけたいのが、援助してもらったお金の「持分」への反映です。たとえば親から500万円を援助してもらって頭金にした場合、そのお金を誰が出したかによって、家の名義(持分)の考え方が変わることがあります。
夫婦や親子で出し合って買うときは、「誰がいくら出したか」と「名義の割合」を一致させておかないと、これも贈与とみなされる可能性があります。
資金援助は、ありがたい反面、税務の扱いが少し複雑になるので、金額が大きい場合ほど、事前に専門家に確認しておくと安心です。
親からの資金援助を頭金にする場合、住宅取得資金の贈与には非課税の特例があることも。ただし要件や非課税枠は年によって変わり、手続きも必要です。使う前に必ず国税庁などで最新の条件を確認しましょう。
【本題】家を買う前の家計チェックリスト

ここまでの内容を、チェックリストにまとめました。家を本格的に探し始める前に、夫婦(または家族)で一つずつ確認してみてください。ひとつでも「いいえ」があれば、そこが準備のポイントです。
■ 家計の把握
□ 世帯の手取り収入を正確に把握しているか
□ 毎月の支出と貯蓄額を書き出したか
□ 他の借入(車・カード・奨学金など)を整理したか
■ 予算・借入額
□ 予算を「借りられる額」ではなく「返せる額」で決めたか
□ 返済負担率は手取りの20〜25%以内に収まっているか
□ 毎月返せる額から借入額を逆算したか
■ 頭金・手元資金
□ 生活防衛資金(生活費の半年〜1年分)を残せるか
□ 頭金は無理のない範囲か(貯金を使い切っていないか)
■ 諸費用・維持費
□ 購入時の諸費用(物件価格の5〜9%)を見込んだか
□ 固定資産税・修繕費・管理費などの維持費を見込んだか
■ 将来のお金
□ 教育費のピークと返済が重ならないか確認したか
□ 老後資金など将来の出費も考えたか
□ 資金援助を受ける場合、贈与税の扱いを確認したか
このチェックリストをすべて「はい」にできれば、あなたの家計の準備はかなり万全です。もし「いいえ」や「わからない」があっても、心配はいりません。それは「今、準備すべきポイント」がはっきりしたということ。焦って物件を決める前に、その項目を一つずつ整えていけば大丈夫です。準備は、早く始めるほど選択肢が広がります。安心して、物件探しに進みましょう。
【宅建FP編集部より】家選びは「準備」で9割決まる
宅建FP編集部として、家を買う前の準備でいちばんお伝えしたいのは、家選びの成否は、物件を見る前の「準備」でほとんど決まるということです。
相談を受けていると、後悔している人ほど「いい物件が見つかったから、勢いで決めてしまった」と言います。逆に、うまくいっている人は、物件を探す前に家計をきちんと整え、予算と資金計画を固めています。準備ができていれば、予算オーバーの物件に惑わされることも、借りすぎることもありません。
そして、その準備の核にあるのが、やはり「借りられる額」ではなく「返せる額」で考えるという一点です。
不動産会社や住宅メーカーの営業担当者は、家を売るのが仕事です。悪気はなくても、「これくらいなら借りられますよ」「家賃並みの返済で買えます」といった言葉で、予算を引き上げようとすることがあります。
でも、その「借りられる額」で買った人ほど、後で苦しんでいるのが現実です。「家賃並み」という言葉にも注意が必要で、家賃には維持費や固定資産税は含まれていません。同じ月額でも、持ち家は維持費が上乗せされる分、実際の負担は大きくなります。
だからこそ、営業トークに流されず、自分で決めた「返せる額」を予算の軸にしてください。この記事のチェックリストを一つずつ確認し、無理のない資金計画を立てることが、後悔しないマイホーム購入への近道です。
判断に迷うときは、中立的なFPに相談して、第三者の目で家計を見てもらうのも有効です。あわせて【住宅ローンで失敗する人の共通点5選】や【住宅ローンの返済負担率とは?】の記事も参考にしてみてください。
よくある質問(FAQ)
- 家を買う前に、まず何から始めればいいですか?
-
まずは家計の現状を把握することから始めましょう。世帯の手取り収入・毎月の支出・貯蓄・他の借入を書き出して見える化します。物件を探す前に「いくらまでなら無理なく返せるか」を知っておくことが、後悔しない準備の第一歩です。
- 家を買うのに貯金はいくら必要ですか?
-
頭金として物件価格の1〜2割、購入時の諸費用として5〜9%が目安です。加えて、生活防衛資金(生活費の半年〜1年分)は手元に残す必要があります。貯金を全部使い切らず、余裕を持った資金計画が大切です。
- 頭金はいくら入れるのが理想ですか?
-
一般的には物件価格の1〜2割が目安ですが、手元資金をゼロにしないことが最優先です。生活防衛資金や当面の教育費を残したうえで、無理のない範囲で入れましょう。頭金なし(フルローン)でも、借入を返せる額に抑えれば問題ないケースもあります。
- 家を買うときの諸費用はどれくらいかかりますか?
-
物件の種類にもよりますが、物件価格の5〜9%程度が目安です。3,000万円の物件なら150万〜270万円ほど。登記費用・ローンの事務手数料・保証料・火災保険料・不動産取得税などが含まれます。この分は自己資金で用意できると安心です。
- 家を買った後に、住宅ローン以外でかかるお金は?
-
固定資産税(毎年)・火災/地震保険料・修繕費などがかかります。マンションなら管理費・修繕積立金も毎月必要です。「毎月の返済=住居費」ではなく、これらを含めた総額で家計を考える必要があります。
- 予算(借入額)はどうやって決めればいいですか?
-
「銀行が貸してくれる額」ではなく「無理なく返せる額」で決めます。目安は、返済負担率が手取りの20〜25%以内。まず毎月返せる額を決め、そこから借入額を逆算するのが、後悔しない予算の立て方です。
- 共働きの場合、家計はどう考えればいいですか?
-
2人の収入で予算を広げられますが、片方の収入が減っても返せる範囲かを必ず確認しましょう。出産・育児で世帯収入が下がる可能性を見込み、無理のない借入額に抑えることが大切です。ペアローンを組む場合は特に慎重に。
- 親から資金援助を受けても大丈夫ですか?
-
問題ありません。住宅取得資金の贈与には非課税の特例が設けられていることがあり、うまく使えば頭金の助けになります。ただし要件や非課税枠は年によって変わり、手続きも必要なため、最新の条件を国税庁などで確認しましょう。
- 家を買うのに向いていないタイミングはありますか?
-
収入が不安定な時期、転職直後、近く大きな出費(教育費など)が控えている時期は、慎重に判断したほうがよいでしょう。焦って買うより、家計と貯蓄を整えてからのほうが、無理のない住宅ローンを組めます。
- 家計に不安がある場合、誰に相談すればいいですか?
-
中立的な立場で家計全体を見てくれるFP(ファイナンシャルプランナー)への相談が有効です。銀行や不動産会社は自社の商品が中心になりがちなので、複数の意見を聞いて、自分の家計に合うかで判断しましょう。
- 家を買う前の準備で、いちばん大事なことは何ですか?
-
「借りられる額」ではなく「返せる額」で予算を決め、手元資金を残すことです。家選びで後悔する人の多くは、物件そのものより家計の準備不足でつまずきます。準備を整えれば、後悔の大半は防げます。
まとめ:物件を見る前に、家計を整えよう
最後に、この記事の要点をあらためて整理しておきましょう。
- 家を買う前は、まず家計の現状(収入・支出・貯蓄・借入)を把握する
- 予算は「借りられる額」ではなく「返せる額(手取りの20〜25%)」で決める
- 頭金は、生活防衛資金を残したうえで無理のない範囲で
- 物件価格に加えて、諸費用(5〜9%)と購入後の維持費を見込む
- 教育費や老後など、将来の出費と返済が重ならないか確認する
- 資金援助を受けるなら、贈与税の扱いを事前に確認しておく
家選びは、物件を見る前の準備で9割が決まります。焦って物件から入るのではなく、まず家計を整えることから始めましょう。準備さえしっかりできていれば、マイホームは、無理なく暮らしを豊かにしてくれる、心強い味方になってくれます。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品、不動産取引、住宅ローン契約、税務手続き、投資行動を推奨するものではありません。税制・制度や条件は変更される場合があるため、最新情報は金融機関・国税庁・公的機関などの公式情報をご確認ください。最終的な判断は、必要に応じて専門家にご相談ください。

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