「毎月の返済を少しでも軽くしたいから、ボーナス返済を使おうかな」——住宅ローンを組むとき、そう考える人は多いです。でも一方で、「ボーナス返済はやめた方がいい」という声もよく聞きます。いったいどちらが正しいのでしょうか?
先に結論をお伝えします。ボーナス返済は「絶対にダメ」ではありませんが、頼りすぎは禁物です。基本は毎月返済だけで無理なく払える計画にして、ボーナスは貯蓄や繰上返済に回すのが、宅建FP編集部としておすすめの考え方です。
この記事では、ボーナス返済の仕組みからメリット・デメリット、「やめた方がいい」と言われる理由、そして後悔しない使い方まで、やさしく解説します。なお、住宅金融支援機構のフラット35でも、ボーナス払いを併用する場合の上限が定められています。
- ボーナス返済の仕組みとメリット・デメリット
- 「やめた方がいい」と言われる理由
- ボーナス返済の割合の目安
- 途中でやめたいときの対処法
- ボーナス返済が向いている人・向いていない人
ボーナス返済(ボーナス払い)とは?仕組みを整理

ボーナス返済とは、年2回のボーナス月に、通常より多く返済する方法です。借入額の一部を「ボーナス返済分」として切り分け、その分を年2回(夏・冬)まとめて返します。
こうすると、毎月の返済額を抑えられます。たとえば毎月9万円の返済が、ボーナス返済を併用すると毎月6.5万円ほどに下がり、その代わりボーナス月に十数万円を上乗せして返す、というイメージです。
住宅ローンを組むとき、金融機関の窓口で「毎月の返済を抑えるためにボーナス払いを併用しますか?」と聞かれることがあります。目先の毎月返済額が下がるので、つい「じゃあお願いします」と選んでしまいがちです。でも、この選択が後々の家計を左右することもあるため、仕組みをきちんと理解したうえで判断することが大切です。
ここで大事なのは、毎月がラクになる分、ボーナスに依存する計画になるということ。ボーナスが安定していれば問題ありませんが、減ったり出なかったりすると、たちまち返済が苦しくなります。この「ボーナス頼み」の構造こそが、あとで見る注意点の根っこです。
たとえば、毎月9万円の返済がきついからと、ボーナス払いを併用して毎月6.5万円に下げたとします。毎月はラクになりますが、その分、夏と冬のボーナス月には十数万円がまとめて出ていきます。
もしその年にボーナスが半分になったら、返済のためにまとまった現金を用意しなければなりません。つまり、毎月の負担を軽くした分のツケを、ボーナス月にまとめて払っているとも言えるのです。
ボーナス返済は「毎月の返済を軽くする代わりに、年2回まとめて多めに返す」仕組みです。毎月がラクになる分、ボーナスに依存することになります。ボーナスが減ったときに耐えられるかが、判断の分かれ目です。
ボーナス返済のメリット・デメリット

ボーナス返済には、良い面と注意すべき面の両方があります。順番に見ていきましょう。
メリット
- 毎月の返済額を抑えられる:日々の家計にゆとりが生まれる
- 収入の多いタイミングで返済できる:ボーナスが安定していれば計画的
- 借入可能額を増やせることがある:毎月の負担が下がる分、審査上は有利になる場合も
いちばんのメリットは、やはり毎月の返済額を抑えられることです。たとえば教育費や生活費で毎月の家計がカツカツな場合、ボーナス払いを併用すれば、日々の暮らしにゆとりが生まれます。
公務員や大企業の社員など、ボーナスが安定して見込める人にとっては、「収入の多い時期にまとめて返す」という考え方は、家計管理の面で理にかなっている面もあります。
ただし、これらのメリットはすべて「ボーナスが予定どおり出続ける」という前提の上に成り立っている、という点は忘れてはいけません。
デメリット
- ボーナスが減る・出ないリスク:業績や転職で変わる可能性がある
- 総返済額がやや増える:元金の減りが緩やかになり、利息が増えやすい
- ボーナス月の負担が重い:まとまった額が出ていくため、他の出費と重なると苦しい
- 途中でやめにくい:契約後にボーナス返済だけを外すのは原則できない
このなかで最も注意すべきは、やはりボーナスが減る・出なくなるリスクです。ボーナス払いは「毎月の負担を軽くする代わりに、ボーナスに依存する」仕組みなので、ボーナスが減った瞬間に、その依存がそのまま家計の重荷に変わります。
しかも、いったんボーナス払いで契約すると、途中で毎月払いだけに変えるのは原則できません。「きつくなったらやめればいい」が通用しないのが、ボーナス払いの怖いところです。
具体的に、総返済額の違いも見てみましょう。3,000万円を金利1.5%・35年で借りた場合の比較です(目安)。
| 返済方法 | 毎月返済額 | ボーナス時(年2回) | 総返済額の目安 |
|---|---|---|---|
| 全額を毎月返済 | 約91,900円 | なし | 約3,858万円 |
| ボーナス返済30%併用 | 約64,300円 | 約166,000円 | 約3,861万円 |
この表からわかること:ボーナス返済を使うと毎月は約2.8万円軽くなりますが、総返済額はほとんど変わらない(むしろわずかに増える)だけでなく、ボーナス月に約16.6万円の負担が上乗せされます。毎月がラクになった分を、年2回まとめて払っているだけ、とも言えます。
なぜ総返済額がわずかに増えるのかというと、ボーナス返済分は毎月の返済に比べて元金の減りが緩やかになり、その分、利息がかかる期間が長くなるからです。
「ボーナス返済のほうがお得」というイメージを持っている人もいますが、実際にはお得になるわけではなく、支払いのタイミングを毎月からボーナス月に移しているだけなのです。しかも、そのボーナス月の負担は決して小さくありません。
夏や冬は、旅行や帰省、年末年始の出費など、ただでさえお金がかかる時期。そこに十数万円の返済が重なると、家計は一気に苦しくなります。
ボーナス払いをしている人はどれくらい?割合と平均

「みんなボーナス払いを使っているの?」と気になる方も多いはず。目安を整理しておきましょう。
- ボーナス払いを利用している人は、住宅ローン利用者の4割前後といわれます
- ボーナス返済分は、ボーナスの3割程度を充てるのが一般的とされます
- ボーナス月の増額分は、20万円前後というケースが多いようです
- 金融機関では、ボーナス返済分を借入額の40〜50%まで設定できることが多いですが、推奨は20%程度まで
ここで注意したいのが、「設定できる上限」と「無理のない割合」は違うということ。金融機関が40〜50%まで認めていても、実際にそこまで頼るのは危険です。返済負担率の考え方と同じで、「借りられる(設定できる)」と「無理なく返せる」は別ものなのです。割合は抑えめにが鉄則です。
「やめた方がいい」と言われる理由

では、なぜ「ボーナス返済はやめた方がいい」と言われるのでしょうか。理由ははっきりしています。
いちばんの理由は、ボーナスは将来にわたって保証されたものではないからです。毎月の給与は労働契約で決まっていますが、ボーナスは会社の業績や方針しだいで、法律で必ず支払われると決まっているものではありません。
「今年は業績が悪いから寸志程度」「制度が変わって年俸制になった」ということも、実際に起こります。住宅ローンは20〜35年という長い付き合いです。その長い期間、ボーナスが今と同じ水準で出続ける保証は、どこにもないのです。
次のような状況になると、ボーナス返済は一気にリスクになります。
- 会社の業績が悪化してボーナスが減った
- 転職して、ボーナスの少ない(またはない)会社に移った
- 育休・時短勤務で収入が下がった
- 歩合や業績連動で、そもそもボーナスが不安定
住宅ローンは20〜35年の長い付き合いです。その間、ボーナスがずっと同じ水準で出続ける保証はどこにもありません。「今のボーナスが続く前提」で組んだ計画は、想定が崩れたときに苦しくなる——これが、やめた方がいいと言われる本質です。
「ボーナス返済はやめた方がいい」と言われる最大の理由は、ボーナスが景気や転職で変わるから。ボーナスは法律で保証されたものではありません。ボーナス前提の計画は、想定が崩れると一気に苦しくなります。
ボーナス返済の割合はどれくらいが目安?

「それでもボーナス返済を使いたい」という場合、大切なのが割合です。
一般的な目安は、ボーナス返済分を借入額の30%以下に抑えること。これを超えると、ボーナスが減ったときのダメージが大きくなります。
たとえば3,000万円の借入なら、ボーナス返済分は900万円まで。残りの2,100万円以上は毎月返済でまかなう、というイメージです。割合を抑えておけば、万一ボーナスが減っても、致命傷になりにくくなります。
ただし、宅建FP編集部としては、そもそもボーナス返済を使わず、毎月返済だけで払える計画をおすすめします。ボーナスは受け取ってから、貯蓄や繰上返済など、そのときの状況に応じて使い道を選ぶほうが、はるかに柔軟だからです。
どうしてもボーナス返済を使うなら、ボーナス返済の割合は借入額の30%以下に抑えるのが目安です。それ以上に頼ると、ボーナス減や不支給のダメージが大きくなります。基本は「毎月返済だけで無理なく払える計画」が安心です。
ボーナス返済をやめたいときの対処法

「組んでみたけど、やっぱりボーナス返済がきつい」——そう感じても、契約後に途中でボーナス返済だけをやめることは、原則としてできません。
やめたい場合の主な方法は、次のとおりです。
- ボーナス返済なしの住宅ローンに借り換える:別の金融機関で、毎月返済のみのローンに乗り換える
- 繰上返済でボーナス返済分の残高を減らす:まとまった資金があれば、負担を軽くできる
- 金融機関に相談する:返済が厳しい場合、返済条件の見直しに応じてもらえることがある
いずれも手間や費用がかかります。とくに借り換えは、数十万円の手数料がかかることもあり、金利差や残高によっては「費用倒れ」になることもあります。また、借り換え時には再審査があり、健康状態や収入の変化によっては、以前より条件が悪くなる可能性もあります。
だからこそ、最初の設定でボーナス返済に頼りすぎないことが、いちばんの対策になります。「あとで変えればいい」と安易に考えず、契約の時点で無理のない設定にしておきましょう。もし今すでにボーナス返済がきついと感じているなら、放置せず、早めに金融機関へ相談することが大切です。
ボーナス返済は、契約後に途中でやめるのが原則できません。やめたい場合は、ボーナス返済なしのローンへ借り換えるのが主な方法で、手数料もかかります。だからこそ、最初の設定で無理をしないことが大切です。
ボーナス払いと繰上返済は何が違う?
「ボーナスで多く返す」という点で、ボーナス払いと繰上返済は似ています。でも、中身は大きく違います。
| ボーナス払い | 繰上返済 | |
|---|---|---|
| 決めるタイミング | 契約時に固定 | そのつど自由に決められる |
| 柔軟性 | 低い(途中でやめにくい) | 高い(金額・時期を選べる) |
| ボーナス減のとき | それでも払う必要がある | 見送ることができる |
いちばんの違いは柔軟性です。ボーナス払いは契約で決めてしまうため、ボーナスが減っても払わなければなりません。一方、繰上返済は「余裕があるときだけ」行えます。
宅建FP編集部としては、ボーナスは受け取ってから、そのときの家計に応じて繰上返済や貯蓄に回すほうをおすすめします。同じ「ボーナスで返す」でも、自由度がまったく違うからです。
ボーナス払いを利用するときの注意点
もしボーナス払いを使うなら、次の点に注意しましょう。
- ボーナスが半分になっても払えるかを確認しておく
- ボーナスが出なかった年の資金を、あらかじめ手元に確保しておく
- ボーナスの支給日と返済日のタイミングがずれていないか確認する
- 割合は借入額の30%以下(できれば20%程度)に抑える
とくに、転職や独立を考えている人は要注意です。転職先でボーナスが少なかったり、なかったりすることもあります。「今の会社のボーナスが続く前提」で組むと、環境が変わったときに苦しくなります。
タイプ別に見る、ボーナス払いの向き・不向き
同じ会社員でも、ボーナスの安定度は職種や会社によって大きく違います。
| タイプ | ボーナス払いの向き |
|---|---|
| 公務員・大企業(安定支給) | 使ってもよいが割合は抑えめに |
| 中小企業(業績で変動) | 慎重に。使うなら最小限 |
| 歩合・業績連動・自営業 | 原則、使わないほうが安全 |
| 転職・独立を予定 | 使わない。環境変化に弱い |
判断の軸は、「来年、ボーナスが半分になっても平気か」です。少しでも不安があるなら、ボーナス払いは使わず、毎月返済だけで完結する計画にしておきましょう。ボーナスは、受け取ってから貯蓄や繰上返済に回すほうが、ずっと安全で自由度が高いのです。
ボーナス返済が向いている人・向いていない人
最後に、ボーナス返済が向いている人と、向いていない人を整理します。
| 向いている人 | 向いていない人 | |
|---|---|---|
| 職業 | 公務員・大企業などボーナスが安定 | 歩合・業績連動・中小企業など |
| 収入 | 毎月・ボーナスとも安定 | 変動が大きい |
| 家計 | 毎月返済だけでも払える余力あり | ボーナス前提でギリギリ |
| 使い方 | 割合を抑えて補助的に使う | 割合を大きく設定している |
ポイントは、「ボーナス返済がなくても毎月返済だけで回るか」です。ボーナスはあくまで「おまけ」と考え、なくても成り立つ計画にしておけば、転職や景気の変化など、どんな状況になっても安心して返し続けられます。逆に、ボーナスありきでギリギリの計画を組むと、少しの変化で家計が崩れてしまいます。
ボーナス返済で後悔しないためのポイント
契約前に、次の点を確認しておきましょう。
ボーナスを当てにせず、毎月の返済だけで無理なく払える借入額を先に決めます。これが後悔しないための土台です。
どうしても使う場合も、ボーナス返済分は借入額の30%以下に抑え、ボーナスが減っても致命傷にならない範囲にします。
ボーナス返済に組み込むより、ボーナスは手元に受け取り、余裕があれば繰上返済や貯蓄に回すほうが柔軟に対応できます。
業績連動や歩合など、ボーナスが変動しやすい人は、最初からボーナス返済を使わない選択が安全です。
よくある質問(FAQ)
- 住宅ローンのボーナス返済はやめた方がいいですか?
-
絶対にダメではありませんが、ボーナスが減る・なくなるリスクがあるため、頼りすぎは禁物です。基本は毎月返済だけで払える計画にし、ボーナスは繰上返済や貯蓄に回すのが安心です。
- ボーナス返済を使うと総返済額は増えますか?
-
はい、わずかに増える傾向があります。ボーナス返済分は元金の減りが緩やかになるため利息がかかる期間が長くなり、毎月のみの場合より総返済額が少し多くなることがあります。
- ボーナス返済の割合はどれくらいが目安ですか?
-
一般的に、借入額のうちボーナス返済分は30%以下に抑えるとリスクを抑えやすいとされます。それ以上に頼ると、ボーナス減のダメージが大きくなります。
- 契約後にボーナス返済をやめることはできますか?
-
原則として、途中でボーナス返済だけをやめることはできません。やめたい場合は、ボーナス返済なしの住宅ローンへ借り換えるのが主な方法です。手数料がかかるため、事前にシミュレーションしましょう。
- ボーナス返済と繰上返済はどちらがいいですか?
-
柔軟性の面では繰上返済のほうが安心です。ボーナス返済は契約で固定されますが、繰上返済はそのときの家計に応じて金額やタイミングを選べます。ボーナスは受け取ってから使い道を決めるほうが自由度が高いです。
- ボーナス返済が向いているのはどんな人ですか?
-
公務員や大企業など、ボーナスが安定して見込める人は比較的向いています。ただしその場合でも割合は抑えめにし、ボーナスが減っても毎月返済だけで回る範囲にしておくと安心です。
- ボーナス払いの割合は途中で変更できますか?
-
金融機関によっては、ボーナス返済分の割合の変更や、ボーナス払いの取りやめに応じてもらえる場合があります。ただし再審査や手数料が必要なこともあるため、まずは借入先の金融機関に相談してみましょう。
- ボーナス払いをすると住宅ローン控除は変わりますか?
-
住宅ローン控除は年末残高の0.7%が基準です。ボーナス払いの有無で年末残高が大きく変わるわけではないため、控除額への影響は基本的にわずかです。控除を理由にボーナス払いを選ぶ必要はありません。
- 共働きでもボーナス払いは避けたほうがいいですか?
-
共働きでも、出産・育児で片方のボーナスがなくなる可能性があります。世帯のボーナスをあてにしすぎると、収入が変わったときに苦しくなります。使う場合も割合は抑え、片方のボーナスがなくても回る計画にしましょう。
- ボーナス払いなしにすると毎月の返済はどれくらい増えますか?
-
同じ借入額なら、ボーナス払いに回していた分が毎月に上乗せされます。たとえば3,000万円でボーナス払い30%をなしにすると、毎月の返済は約2.8万円増える計算です。その増えた額を毎月無理なく払えるかどうかが、そもそもの適正な借入額の目安になります。
まとめ:ボーナスは「おまけ」、毎月返済だけで回る計画に
最後に、この記事の要点を整理します。
- ボーナス返済は、毎月を軽くする代わりにボーナスに依存する仕組み
- ボーナスは減る・出ないことがあるため、頼りすぎは禁物
- 使うなら割合は借入額の30%以下に
- 途中でやめるのは原則不可。借り換えなどが必要
- 基本は「毎月返済だけで払える計画」にし、ボーナスは貯蓄・繰上返済に回す
ボーナス返済は、うまく使えば毎月の家計をラクにできますが、頼りすぎると想定外のときに苦しくなります。ボーナスは「おまけ」と考え、なくても回る計画を立てておきましょう。迷ったら、まずはボーナス払いなしで無理なく返せる借入額を確認することから始めてみてください。あわせて【住宅ローンで失敗する人の共通点5選】の記事も参考にしてみてください。
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